風紀委員Girls! 510
興味津々といった赴きでアリシアの顔を覗き込んでくる2人に、アリシアはなかなか切り出すことが出来ない。
普段なら臆することなく、何でも口に出してしまうのに…これも“恋”の為せる技なのか?…
「どうしたのよ?…何だか顔が赤いよぉ…」
夏織がアリシアの額に掌を宛がう。
「だ、大丈夫です…熱があるわけではありませんから…」
夏織の手を跳ね除けるアリシア。
「じゃあどうした」
「それは…」
尋ねられても上手く答えられない。
アリシアにとって初めてのことだ、2人にどう説明すればいいのかもわからない。
「そうか、アリシアさんにも意中の人が現れたか…」
「……!!」
舞の鋭い指摘に、アリシアは思わず背筋を伸ばす。
「クスッ…図星ってことね?…」
「あっ;いえ、まあ…;」
アリシアは顔を赤らめながら俯く…
「もぉぉ〜そんな恥ずかしがらないでぇ〜、好きな人が出来たなんて素敵なことじゃなぁい!」
舞までもが顔を高揚させ、アリシアに抱き着く。
「い、いや、そういう…」
「私たちはアリシアにも幸せになってもらいたいんだよ〜、おめでたいじゃない!」
アリシアの背後に回った夏織が同じように抱きつく。
そうされると、そう言われると、アリシアも簡単には否定できなくなる。
顔の赤みも身体の火照りも増していきながら。
…でも、悪い気なんてしない。むしろ嬉しかった。
「で、相手は誰?前からアタックかけてた青海の子?」
夏織は興味深そうに食いつく。
「青海の子って、夏織は覚えているの?…」
アリシアは加賀谷誠のことなんて、全く覚えてはいなかったのだ;…
「それゃあそうよ…あの子ってアリシアに対しては凄い一生懸命だったじゃないぃ〜」
「そ、そうだったんだ…」
覚えてもいないということは、きっと酷く冷たい態度を取ったんだろう…
アリシアはできることなら、時計を逆回転させたかった…