風紀委員Girls! 505
「言っておくけどその俺とヤったのは誰だよ?」
「うふふふふっ」
可憐ははぐらかすように笑って旬にキスをする。
…なんか清美の女子、みんな怖い。
旬は少しだけそう感じていた。
…さて、その頃
「…オールナイトはキツかったです…舞や美菜子はどうしてあんなに元気なんでしょう…」
朝日が昇る中帰宅?するアリシア・シャーロット。
旬と別れた後、彼女たちは夜通しカラオケを楽しんでいたようだ。
ゆっくり緩やかな上り坂を歩く。
この先、もう少し行けば自分の家は近い。
「あ、アリシアさん……!」
「…?」
突然呼び止められる。しかも男の声だ。
自分に男なんて縁がない…アリシアは訝しむ。
彼は青海のナンバー6、加賀谷誠。
青海テニス部の主力で、剛や祐樹とは親しい仲。
そして、アリシアにアタックをかけ続けている主である。
「あれ?どなた様でしたっけ…」
アリシアは本当に覚えてはいなかった。
日に何十人にも声を掛けられるアリシアにとって、その人それぞれをちゃんと覚えてはいられないのだ。
「加賀谷ですよ。青海の加賀谷誠…こないだ告りましたよね;…」
誠は顔を少年のように顔を赤く染め、照れながら頭を掻いた。
「そんなこと…ございましたっけね…」
アリシアは首を傾げながら誠の表情を伺った。
男からのナンパも告白も半ば日常茶飯事と化したアリシアにとって到底全て覚えきれるわけがない。
まして今は疲労がピークだ。申し訳ないが彼の相手など…
「あの、俺、アリシアさんに…もう何度も…」
ただ、真面目にそう言ってくる誠のことを放っておけない…アリシアの弱いところでもある。
「分かりました…それではここではなんだし、家に上がってくださいな…」
こんな早朝に男子と2人でいるところを見られたくは無いという、近所の目を気にしてのことではあったが、それよりも早く家でゆっくりしたいのがアリシアの本音だった…
「うぇ!?…マジっすかぁ!?」
アリシアの誘いに、思わず誠は声を裏返してしまう。
何をそんなに興奮するところがあるのか、アリシアは誠の気持ちがまったくわからなかった。
「この近く…坂を上がればすぐなので」
「ご両親とかは…大丈夫っすか?」
「?……幸い、今日は朝早くから外出で、いないはずですよ…」
「ま、マジですか…!」
誠のいちいちオーバーな反応に首を捻るアリシア。
とりあえず今は早く家に帰ろう、そう思い、深くは気にしなかった。