風紀委員Girls! 486
開けっぱなしになっていたドアの前には、近所に住む桜が立っていた。
「珍しいぃ…お客さん?」
「あ、ああ…なんだよお前、こんなに朝早くに…」
「そんな迷惑そうな顔しないでよ…ロケ弁の余り、朝ごはんにと思って持ってきたのに…」
「え?ああ…ありがとな」
桜が食べ物の入ったケースを旬に差し出す。
「お兄さんもよかったらどうぞ」
「い、いや、僕は彼の兄じゃないし、家に帰れば朝ごはんが…」
遠慮する粋の脇腹を旬が小突く。
「ロケ弁って何だ?お前何かやってんのか?」
「あれ、滝谷くんには言ってなかったっけ」
「ああ、何も聞いてねーぞ…」
旬は子供みたいに頬を膨らます。
「ごめんごめん;…私、芸能プロダクションに入ることが出来たんだぁ〜」
「うぉ?!…マジでぇ!」
「そう!…ユリナと同じとこなんだよぉ〜」
「ま、マジでかよ!?」
「うん、まだ駆け出し、一からのスタートだけどね。学校と両立しながらレッスンも受けて…毎日楽しいよ」
桜は疲れた顔をまったく見せず笑顔。
旬は一瞬出たユリナの名前にビビり気味になっていた。
「まあ無理するなよ、それにユリナさんは先輩になるんだから呼び捨てはダメだぞ…」
「わかってますー」
「あっ、ユリナさんって…?」
粋が会話の中に入っくる。
「おっ、ゴメン;…もちろん沙里菜さんの姉貴のユリナさんのことだよ…」
「やっぱりそうだよな…」
「ああ コイツ、ユリナさんの芸能事務所に入れたらしいんだよね…」