風紀委員Girls! 443
「ごめんね粋くん…お母さん任せっきりにしちゃうみたいで」
ユリナが粋に謝る。
「いえ、僕に任せてもらえれば…」
そんな粋を見て、舞と旬は疑問の目を向ける。
「大丈夫かなぁ…」
「この前のこともあるし、まあいいんじゃないかな…」
沙里菜と真里菜はそう話す。
この前…
初めて春日粋がこの家にやって来た日、静里菜は思いも寄らず粋と二人っきりになった…
4人の娘たちは静里菜と粋をリビングに残し、皆2階に上がってしまったのだ…
「貴方…同性愛者なんでしょ?…」
その言葉は沙里菜を思ってのことだった…
世間への偏見対策の為に、彼女という隠れみのを作るゲイの男がいることを、静里菜は知っていた。
「ええ…そうでした」
粋は俯いて座ったまま、そう言った。
「でしたって、まるで昔のことみたいに…貴方本当に沙里菜のことを考えているの?」
「もうあの時のことは終わったんです。彼女は僕のことを愛してくれているし僕も愛している…必要な人なんです」
「そんな口先だけの弁明なんて信じられないは…もしここにあの時の滝谷亮が現れでもしたら、あなたは沙里菜を捨てるんじゃなくて?…」
「そんなことはあり得ないですよ…アイツはノーマルですからね…」
そう言う粋の手が伸び、静里菜の顎をそっと取った。
「これで僕が女にも興味があるって…信じて貰えますか?…」
え?…
呆気に取られる静里菜の唇に粋の熱い息が重なる…
静里菜にとって夫以外の男とのキスは…始めてだった…
「僕はあの頃とは違うんです…いえ、あの頃の僕は、もういないといってもいいでしょう」
粋は静里菜にもう一度唇を寄せ、重ねる。
今度はさらに深いキスを…
「これで理解してくれました?」
静里菜に粋に対する疑いの目は、一気に消えていく。
完全に粋の虜になった静里菜はそのまま、より深い関係に自ら踏み出していったのだ…