風紀委員Girls! 441
「久しぶりだな…でも、どう対応したらいいのか、この状況でどうすればいいのか…」
亮は粋をチラチラと見やりながら困った顔をする。
「本当の事を言ったほうがいいんじゃないか?」
「そ、そうだよな…」
その二者間を見かねた伊織が粋に手招きし、亮の前に立たせる。
「お、おい…!」
「長年の誤解を解くべきですわ」
「悪い…この子の言う通りだよな…俺、お前の兄貴には散々誤ったんだけど…お前にはちゃんと謝っていなかったよな…」
亮が頭を掻きながら頭を垂れる…
「止めてくれよ…誤解を招くような真似をしたのは僕の方じゃないか…それなのに兄貴に土下座までしてくれて…謝るのは僕の方じゃないか…」
粋に向かって頭を下げる亮。
それに対し粋も亮に近づく。
その姿を見てやれやれとため息を吐く伊織。
美菜子と真里菜は心配そうに近寄る。
「なんか今日の伊織、異常にイライラしてないか?」
「……そんなことは」
「伊織が苛立つのも無理ないよ…ご両親が清美の立ち上げに関わっているんだもんね…」
「うん…学校同士の抗争を収めるのが目的だったんだけど、その問題は奥が深いみたいね…」
そう言って伊織は静里菜のことを睨んだ。
確かに伊織の言う通り、この地区には静里菜のように、青海と桜咲『だけ』しか学校と認めない大人達は多い…
「難しい問題だよね…いくら跳び蹴りしたところで、そういう考え方が変わる訳ないもんね…」
強い視線で静里菜を睨んではいるものの、伊織の心の中はもう泣きたい気持ちでいっぱいだった。
清美学園の設立に尽力してきた両親とその親戚一同。
それでも周囲の目はなかなか変えられない現状。
それを目の当たりにしては心が折れそうで仕方がない。
伊織にとって幼馴染であり、今は彼氏である青海の中山剛。
彼と、彼の家族こそが伊織の一番の理解者だった。