風紀委員Girls! 438
「あらぁ、男物のスニーカーがあるってことは、春日くんもう来ているの?」
ユリナの甲高い声と共にリビングの扉が開く。
「しゅ、旬くん?…」
旬の姿を見て、ユリナは一瞬固まる…
それでもその背後にいる多岐亮の姿に気を取られ、誰もがユリナのその異変に気付きはしなかった。
「おおっ、まさに『生』多岐亮だ」
「すごい、本物だよね?」
「まさかここで出会えるとは思いませんでしたわ」
美菜子、可憐、伊織が口々に言う。
「…………」
美咲は口をあんぐり開けたまま硬直。
今にもぶっ倒れそうなのを舞と真里菜が2人がかりで食い止める。
そんな横でユリナと旬は見詰め合ったままだった…
「知らなかった…今日来るなんて…」
「ああ‥たまたま誘われて…」
視線が絡み合い…あの夜のことが思い出された…
「おっ!誰かと思えば旬じゃねーか!」
「きゃん♪★多岐亮の『生声』だぁあ〜」
なんか美菜子のテンションが妙である。
舞は訝しげに彼女の表情を窺った。
「あ、兄貴…」
「今まで悪かった…婆ちゃんの面倒を旬に任せてばっかりで」
「いや、兄貴は仕事が忙しいだろ」
「ああ…それだけじゃないさ…ろくに仕送りだって…」
旬の着古した服を見て、亮はすまなそうに言う。
「そんなことは気にすんなって…俺も高校卒業したら働くっから、その時までの辛抱だって…」
「でもあの家…もうすぐ住めなくなるんでしょ?…」
ユリナが心配そうに声を掛けてくる。
「ああ、旬にも一緒に住もうって言ってんだけど、なかなかそうもいかないみたでさ…」
「俺はいいからさ…そうなったら婆ちゃんだけでも頼むは。」