風紀委員Girls! 405
「そんな顔しないでも大丈夫よぉ…何たって一番の問題の母が、目茶苦茶乗り気なんだから…」
沙里奈は粋から紙袋を受け取る。
「あ、それ手土産…兄貴が持って行けって…」
「あらお兄さんいたの?…」
「ああ、今日は非番みたいだ…」
袋の中身は洋菓子。
「わざわざ悪いなぁ…お兄さんも仕事忙しいんじゃないの?」
「うん…そうだけど、それを見せないから、すごく尊敬してる」
「いいお兄さんだね」
「うん」
粋がリビングに姿を現す。
恵里菜と真里菜は手を合わせて歓喜の声を上げ、静里菜は優しく微笑む。
「まあ随分と大きくなって…」
静里菜は呟くように囁いた…
「えっ?…お母さん、前に春日さんに会ったことあるの?…」
真里菜はその小さな声を聞き逃さなかった…
「あ、いえ…凄い背が高いから…びっくりしちゃって…」
静里菜は慌てて自分の言葉を取り繕う…
「あ、あぁ…ただデカイだけで何も出来ない男ですよ…」
「そんなことないよー、粋くん、料理すごい上手なんだよ」
謙遜する粋に、沙里菜は頬を膨らませて抗議する。
それを遠目に見るユリナ。
「(あの頃とは、違うな…面影があるのは見た目だけだ)」
なんとなく、不安が和らいでいくような気がした。
確かにあの頃の粋は、他の子と比べ成長は遅かった。
クラスメートの中では初体験を迎える子がいるなか、粋が初精を迎えたのだって高校に入ってからだったのだ…
そんな粋が男として発展していく過程段階しか知らかった静里菜やユリナが驚くのも無理は無い…
今の粋は沙里菜が言っていた通り、可愛いいと言うよりも、確かにカッコイイと言える男だった…