風紀委員Girls! 398
ユリナはそう言いながら、眼下に広がる町並みを見下ろす。
「ユリ姉、新しい恋に目覚めた」
「ソレはソレは」
恵里菜と真里菜は小声でヒソヒソ話。
「ま、中に入ろうじゃん?夕食も近いんでしょ?」
「そうだよー、お母さんが腕によりをかけてくれたんだからねぇ」
「へぇ、珍しいな…」
「それゃあ、お母さんご自慢の沙里姉が帰って来るんだもの、お母さんだって頑張るはよ。」
「うえっ!?…沙里姉、帰ってきてるのぉ!」
「ええ、駅からこっちに向かっているって、連絡入ったみたいよ…」
「やだぁあ、沙里奈に会うなんて何年ぶりかしらぁ〜やっぱり今日、来てよかったはぁ…」
ユリナも恵里奈も、もちろん真里奈も聞いていなかった沙里奈の帰宅。
「うぇえー、マジかぁ…」
「沙里姉、帰ってくるんだあ…」
こと勉強に関しては四姉妹で一番の成績を誇り、母親が最も信用していたのが沙里奈だった。
しかし、いつからか恵里奈と真里奈はそんな沙里奈が苦手になっていた。
そんなことを真里奈は知る由も無かった。
三人とも優秀な姉たち…
お母さんの望み通りに桜咲に入り、それぞれに人から羨まれる存在なのだ。
もちろんお母さんが沙里奈のことを殊更に可愛がっていたのは、子供の時から真里奈だって分かってはいた。
その束縛的な愛情から逃げ出す為に、沙里奈が実家から通えない距離の大学を選んだことも…
きっと今日実家に帰ってきたのも、母さんの猛烈?なアプローチに断りきれずにいたのかもしれない。
そういう意味では沙里奈も苦労していたのだ。
母親が料理しているのを横目に、ユリナ、恵里奈、真里奈の3人はリビングのソファーに座る。
「何と無くだけど、実家だと落ち着くよね」