風紀委員Girls! 390
「い、いや、舞、ちょっと待って、多岐亮は超人気俳優だよ。舞がどうやってお知り合いに…」
舞の神妙な顔に驚いた涼が言う。
「確かにさ、滝谷旬のお兄さんだから、ってのはあるよ…でも、それだけじゃ、どうにもならないよ…」
美咲はまだ顔を赤くしながら多少諦めの入った口調で返す。
「美咲のために、美咲の力になるなら…出来るかもしれない」
「い、いったいどうしたら…」
「先ずは会わなくちゃ話しは始まらないでしょ?…旬はもちろんだけど、私、多岐亮の友達のユリナのことも知っているよ…」
「ユリナって多岐亮の恋人の?!」
声を荒げたのは涼だった。
「あれは映画の番宣だよ。まあ私の見たところでは、ユリナは亮に気はあると思うけど…」
「それじゃ私なんか勝ち目は無いよ…」
「そんなのやってみなきゃわからないよ。美咲だって私に当たって砕けろって言ってたじゃない」
「うん…そうだけどね…」
「桜にも協力してもらうから…今度事務所に行ってみない?」
「あ、あ…うん…」
美咲は舞に押し切られるように頷き、顔を真っ赤にして俯いた。
恥ずかしかった。
美咲は滝谷旬に頼んで、亮に会う機会を作って欲しいと、頼みたい気持ちは今まで何度もあった。
しかし高校生にもなって、アイドル的存在である多岐亮に思いを寄せているなど、とても言え無かったのだ。
それでも舞は、そんな自分を馬鹿にすることなく受け入れてくれたことが美咲は嬉しかった…
「美咲も人の子だったんだね〜、私たちよりずっと大人だと思ってた」
「そんなことない…ありもしないことを妄想してるだけの、所詮お子様だよ…」
涼が美咲の頭をナデナデしながら抱きつく。
「じゃあ今度一緒にね」
「うん…」
舞の言葉に、美咲は涙目で頷いた。
「ただいまぁあ〜」
そこに入ってきたのは可憐。
彼氏・水上直矢のお見舞いに行って戻ってきたのだ。