風紀委員Girls! 369
「そんなこと無いですよ…虚像ばかりが一人歩きしてしまって、本当の自分は取り残さてしまいました…」
遠い目をして…どこか寂し気に亮は言った…
「そうなの?…多岐亮と言ったら、今や飛ぶ鳥を落とす勢いじゃない?…」
「それも全て作られた企画ですよ…俺はそこに座らされているだけ…何の実力もありませんからね…」
アイドル的俳優なんてそんなものかもしれない…
ただそうであったとしても、これだけ大勢の女の子たちを熱くさせるのは、誰でも出来ることでは無いはず…
「ま、亮くん、一晩くらいゆっくりしてってよ…シャワーも使っていいしさ…」
「そうですか、すみませんね」
「私の後だけどね」
「構いませんよ」
自分に向けた背中が、以前よりもずっと、大きく見えた。
過去の思い出と、今の間で、麻耶は激しい葛藤を感じるのだった。
そうしながらも麻耶は、箪笥から真新しい下着を取り出し、それに着替える…
脚にパンティーを通しながら、何を考えているの?…と我に返った。
相手はあの時の亮ではない…今や抱かれたい男No.1の多岐亮なのだ…
そんな亮に向かい、あわよくばと期待した自分が恥ずかしかった…
麻耶は一旦脚に通した勝負下着を脱ぎ去り、今まで掃いていた着ふるしたパンティーをまた掃き直した…
自分なんて亮にふさわしい女じゃない。つり合うわけがない。
いつになく弱気な感情が麻耶の中を駆け巡る。
…そこで思い出す。
ランチのとき、ミーハーな同僚が自分に見せた週刊誌の記事。
多岐亮と人気モデル・ユリナの熱愛を伝える文章と2人並んで歩く写真。
「亮くんも、それだけの男になったってわけよね…」
麻耶の心は躍っていた。
泊まるならアルコールもいいはよね?…摘めるものはあったかしら?…
そんな時、またもやピンポーン〜…とインターホンが鳴り響いた…
「誰?…勧誘はお断りよぉ…」 麻耶はドアに向かい声を上げた。
「あ、先輩…なんか来ちゃいました;…」