風紀委員Girls! 346
医師はまず、由真の両親にその事実を伝えた。
そのショックは計り知れないもので、父親は仕事を数日間休み、母親も寝込んでしまったのだ。
その中、やがて由真本人にもその事実が伝えられる。
取り乱すことはなかったが、由真は何も語らず、ただそれを黙って聞くのみ…しかしその表情は悲壮感が漂っていたという。
この事実は、麻耶には伝えられることはなかった。
それから数日後、由真は忽然と、病室から姿を消すのだった。
やっとこの時になって、麻耶は由真の妊娠を知らされた。
「そ、そんな…」
由真の心中を考えると居てもたってもいられず、麻耶は一人、探し回った。
いつしかあの場所に来ていた。
由真の襲われた公園は、何もあの時と変わってはいなかった。
「由真…どこにいるのよ…」
あの日、由真はここで複数の男に関係を強要された。
そして望まない妊娠をした…
部活をサボってでも、由真と一緒に帰っていれば…麻耶は後悔の念に駆られた。
また涙が溢れる。
「お姉さん…どうしたの?」
声のした方を振り返ると、あの時手助けしてくれた少年。
その弟の方…滝谷旬だった。
心配気なあどけない表情を前にし、麻耶は膝を折り旬と目線を合わせた。
「どうして泣いてんだ?…誰かに虐められたのか?…」
「そんなんじゃないよ…ありがとうね、心配してくれて…」
「家に来るか?…兄ちゃんもいるからさぁ。」
「ごめんね…行きたいところだけど、お姉ちゃん人を探しているから…」
「探してる人って誰?もしかしてこの前の…」
「ああ…覚えててくれたんだ」
「あの人、どうかしたのか?」
「うん…ちょっと、ね…」
我慢しようにも、涙は勝手に溢れてくる。
目の前の年下の少年には見せまいと意地を張っても、無理してるのが見え見えだ。
「大丈夫か?」
「うん…」
「さっき、パジャマみたいな格好で歩いてたお姉さんなら見たんだ…なんかフラフラして…」