風紀委員Girls! 338
「婚約しているんですよね…碧と…」
「あ、ああ…親の決めたことだけどさ…」
「でも碧…ノブアキさん以外の人と、今付き合っているみたいですよ…」
「え…?」
「前に青海の野球部にいたノブアキさんの後輩…今は清水家のSPとして働いてる男の子…知ってますよね?…」
「もしかしてそれは、祐樹のこと…」
「ええ…佐伯祐樹くん、私はよくわからないんですけど、2人は最近になって急接近しているようです」
「まあ…それも、仕方ないことかもしれないな…」
「…?」
「碧さんがヤツらに乱暴されていたのに、僕はどうすることもできず、助けたのは祐樹だった…」
「そんなことがあったなんて…ぜんぜん知りませんでした…」
夏織は呟くように小さく言った。
「ああ…襲われる碧を前に、僕は何もできないかったんだ…」
ノブアキは自分を攻めるように拳を握り絞め、街路樹を殴りつけた。
「自分を傷つけるようなことはやめてください。ノブアキさんには、ひとりで責任を背負うことなんてない…!」
「だけど…」
「私はそんな顔のノブアキさん、見たくないんです…」
ノブアキは夏織の表情を見て、ハッとする。
「碧のこと、愛しているなら、ノブアキさんはそれを貫いてください…もしそうなら、私は潔く諦めます」
笑顔を崩さない夏織、その瞳に、一筋の涙が溢れる…
「あ、ありがとう…、こんな僕でも…本当にいいのか?…」
ノブアキは夏織の頬に手を宛がい、その涙をそっと拭った…
「“こんな”なんてことはありません…私は“そんな”ノブアキさんのことが好きなんです…」
「夏織さん…」