風紀委員Girls! 307
そこに…
「皆さんを危険な目にあわせるのは御免ね…ここは私が囮になろうかしら」
生徒会室に入ってきたその人…
「い、いや、貴女がどうしてそんな…」
顔を上げた佳奈が戸惑い気味に言う。
「静香さんに、危ない思いはしてほしくないもの」
…元生徒会長、本多恵里奈。
その目には、決意と覚悟が現れていた。
恵里奈の発言に感激はしたものの、そんなことを頼る訳にはいかなかった。
憧れの本多恵里奈にそんな目に合わせるぐらいだったら、自分が犠牲になった方がマシに思えた。
「囮だなんて、いくらなんでも危険過ぎます!」
静香は訴えるように叫んでいた。
「でも、誰かが先陣を切って行ってみないことには、何も知ることができないのよ」
「それはそうですけど、恵里奈さんがなぜ…」
「私だって一応生徒会の関係者だからね…みんなの力になりたいのよ」
「だからって、恵里奈さんが危険な真似は…」
静香らしくない、大声を張り上げる。
「私も影からついて行く。何かあったらいけないからな」
「菫さん…ですけど…」
「心配すんなって!…あの辺りの地形には詳しくからさ…」
「そういえばあの辺りって…再開発地域なんじゃない?…」
思い出したように静香が言う…
「ああ、確か住んでる奴らも疎らじゃないか?…」
静香の中に滝谷旬の顔が浮かぶ…
「そういえば警察に連れて行かれた黒獅子のトップは、どうなったのかしら?…」
「あいつは直接関わったわけじゃないんだろ?まだ取調べ中なのかね」
佳奈は椅子に座ってふんぞり返る。
「黒獅子のトップは参考人?ナンバー2が入院中、ナンバー3とナンバー4は連絡つかず…この紙、連絡つかないどっちかが寄越してきたのかしら」
恵里菜が腕組みして考え込む。
「そういや、彩未はどうしたんだ?椎葉桃子と一緒にいたんだろ?」
佳奈が皆に尋ねる。