風紀委員Girls! 303
「はは…男が男に、って、ありえない話じゃなかったのね…」
麻耶は動揺を隠そうと笑ったが、その顔は引きつっていた。
「それで、引きこもりになって、退学ってことね…」
「まだ心の傷は治ってないんです…」
「そ、そう…」
「弟を傷つけた奴らは全員捕まって、退学等厳しい処分を受けたそうです。それから数ヶ月して、彼…滝谷が家に、謝罪しに来たんです」
「それって滝谷亮の方ね?」
「はい、今や多岐亮とかいう芸名で、アイドル俳優になっていますがね…」
「ああそのようね…黒獅子出身だということはオフレコになっているみたいよ…」
「いくら悪の時代を払拭させようとしても…僕は一生あいつの事は忘れませんけどね…」
「でも勘違いしちゃダメなのは、滝谷亮が起こしたことではないってことよ。春日も感情的にならない」
「はい…」
「それに、今回の黒獅子男子が襲撃された件、アンタの妹ちゃんも関わってんだからね…」
「そ、そんな…!!」
「春日愛…アンタの妹に間違いないでしょ?…」
「ま、まさか愛が…」
「黒獅子の男子を逆レイプした実行犯…今夜にでも事情聴取で呼ばれる筈よ…」
「何かの間違いだ!愛に限ってそんなこと!!」
「落ち着いて春日…妹さんの罪を軽くする為にも、弟さんの事件を洗い直す必要があるのよ…」
「先輩、愛は、愛は…そんなことする奴じゃ…」
純の声が震え、がっくりと項垂れる。
「春日、つらいと思うけど、事実だ…妹ちゃんは、自分がやったことを認めているらしい」
「先輩…」
「もう一度、調べてみるかな…」
麻耶は純の肩をポンと軽く叩いた。