風紀委員Girls! 302
「な、何ですかいきなし…」
春日は徐に嫌な顔をした。
「行き成りってことでも無いでしょ?…この辺りの学校の対立では欠かせない事じゃない…」
「弟のことは欠かせないって程のことじゃないっすよ…よくある虐めってやつっすから…」
「そう?その割に青海を退学までしているじゃない…」
「あ、あれは単なる禁断の恋ってやつで、今回のこととは全く関係ないですから!」
春日純の明らかなる動揺を、麻耶が気付かない訳が無かった。
「妹ちゃんは清美に通ってるんでしょ?それこそ今回の被害者、桃子ちゃんとは同じクラスだとか」
「そ、それも単なる偶然でしょう」
「隠したっていいことないぞ。それに、今回の捜査に繋がる手がかりかもしれない。みんなのためになると思って、頼むよ」
「先輩…」
いつもはめんどくさそうでやる気の感じられない麻耶。
しかし、今の眼差しは明らかに違っていた。
「わ、分かりましたよ…話しますって。」
「なんだか『話せばいいんでしょ!』…って感じじゃない?」
「いえいえ;…先輩がお望みなら、喜んで話させて頂きますから…」
「何よ、初めっからそうしていればいいに、何を隠そうとしている訳?…」
「そんな滅相もない…隠してることなんてありませんから!…」
諦めの念を抱いた純は、麻耶に知っていることを打ち明ける。
「僕の弟は、『性同一性障害』というものだったそうで」
「ああ、男なのに自分が女だと思うとか、そんな感じの」
「それで、好きになったのも当然、男だった、それが大問題になってしまったんです」
「なるほど」
「その男って?」
「滝谷旬の兄、滝谷亮です。当時、黒獅子のトップだった…だけど、弟は青海。それを知った周りから四面楚歌の状況になって…ある日、事件が起こりました」
「悲しいもので、自分と同じじゃない者は排除する…そういうエゴイストは多いのよね…
それで、事件って?…」
「やられたんです…気味悪がった黒獅子や青海の連中に…」
「えっ?…やられたって…その…犯されたって…こと?…」
「はい…数十人の男から、無理矢理に…」