風紀委員Girls! 278
台所の奥の六畳間…
一つの布団に弟たちが、肩を寄せ眠っていた…
「気にしないで…この子たち一度眠るとなかなか起きないからさ…」
「お父さんは?…」
「夜勤…夜の方が時給がいいんだって…」
「ごめん…考えも無しに来ちゃって…」
「何言ってんの〜、私は舞が来てくれて…嬉しいよ。」
笑顔の桜。
旬の話を聞いている舞は、本当のことを言うべきか迷っていた。
「話ってなんだっけ?」
「ああ…うん…桜が今住んでるこのアパート、解体されちゃうの?」
「ああ…そうなのかな、周りがどんどん変わってるから、そうなってもおかしくはないよ」
「住むところが無くなっちゃたら…桜はどうするの?…」
舞は小さな声で聞く…
「うん…弟たちは田舎の親戚の家へ行くことは決まっているんだ…」
「桜も一緒に?…」
桜は湯気の立ったマグカップを舞の前に差し出す…
「叔父さんたちは一緒に来いって言ってくれているんだけど…正直、どうしようか迷っている…」
桜は俯いて、舞と視線を逸らす。
「桜…」
マグカップを差し出した桜の手を、舞はそっと握った。
「私のワガママから言わせて欲しい…桜には、引越しして欲しくない…一緒にいたい」
「舞…」
「弟さんや妹さんは無理かもしれない…でも、事務所に頼れば、なんとかしてもらえるんじゃないかな…」
「ありがとう舞…でも私ばかりが我が儘言う訳にもいかないよ…」
「それは我が儘なんかじゃないよ!あんな凄い事務所に入れたこと自体、桜は誰よりも凄いんだから!…」
握る手に力が入った…
今この手を離したら、桜が何処か遠くに行ってしまいそうで怖かった…