風紀委員Girls! 275
ユリナは必死に笑いを堪えながら言った。
「はぁ…兄貴ってそんなにすごい人だったのか?」
「そうだよ…ホントにすごいんだから…今度信吾くんとかに聞いてみたら?」
「あ、ああ…」
まだ首を傾げていて状況把握が出来ていない旬。
しかし、兄の亮とはそんなに悪い関係ではないのだと舞は悟った。
「亮さんとは会ったりしてないの?…」
「ああ兄貴は、婆ちゃんと俺に一緒に住まないかって言ってくれてんだ…」
「よかったぁ〜!それならもうここに住まなくてもいいのねぇ!」
「それがさ、婆ちゃんはここを離れるのだけは嫌だって我が儘言ってよ…」
旬は表情を曇らせる。
「またどうして…」
「おばあちゃんは、このお家に思い入れがあるのね」
ユリナが頷く。
「最近、この辺は新しい家がどんどん建っていて、古いアパートの解体工事が進んでてさ…ここも時間の問題だって言われてる」
「そうなの…」
旬は話を続ける。
「そうだ、舞のダチ、早坂って言ったな…あいつのところも、近々工事が入りそうだぞ」
「そうなんだ…桜そんなこと言ってなかったけど…」
「もしかしたら桜さん、皆に心配掛けたくなくて言えないのかもしれないはね…」
心配気にユリナさんが間に入る…
「住む所も無くなっちゃったら、桜はどうなるのよ?!…」
旬を攻めるは見当違いだと分かっていながらも、舞は強い口調で旬に聞いていた…
「あの子の弟が言ってたけどよ…アイツん家、地方の親戚ん所に、引っ越すらしいよ…」
「えっ…」
舞は言葉を失った。
桜が引っ越す?
アイドルになる夢はどうするのか、風紀委員、生徒会で一緒に過ごすことが…
親友とのあまりにも突然すぎる別れの話に、愕然とする。
「そ、それは…」
ユリナも動揺する。
「桜と別れるなんて嫌だよ…桜の夢を応援するために、一緒に頑張って、来たんだから…」
舞の瞳に涙が溜まっていく。