風紀委員Girls! 273
「そう…弟さんが2人いるのね」
「母親に引き取られた弟さんが、今の黒獅子のトップなんです」
「そうなの。その弟さんは亮に似てるのかな?」
「ええ、まあ…」
「その彼のことが好きなのね」
「ええ…えっ!?」
ユリナの言葉に舞は深く考えずに返事したが、すぐに気づき慌ててしまう。
「ふふっ、さっきからの言葉でだいたいわかるよ。私も、亮のこと、好きだから」
「やっぱりそうなんですね…」
「あ、あの週刊誌に載っていたようなことじゃ無いの…ただ私が一方的に思っているだけだから…」
「片想い…私もずっとそうでした…」
「『でした…』ってことは、その想い通じ合えたってことね!…」
そう言うと、ユリナはゆっくりと車を停車させた…
「亮の弟さんの家近いんでしょ?…さぁ、会いに行きましょ!…」
「えっ!ちょっ!?そんな、いいですってぇ!」
突然の提案に舞は大慌て。
「まあまあ、ここまで来たんだから。それに、私も、亮の弟のこと、気になったし」
「ユリナさんが来たら、大変に…」
しかし一度言い出したら止めることもできず、舞も渋々ユリナとともに車を降り、旬の住むアパートへと向かうのだった…
モデルをやっているだけあって、流石にユリナは長身だった…
横に並んで歩くと、小柄な舞は見上げてしまう…
しかもモデルとしては異例なグラマラスな身体をしたユリナは、女としての魅力を充分過ぎる程、発していた…
旬に紹介して…大丈夫かな?
ただでさえ年上好きな旬である…舞は一抹の不安を抱いた…
古びたアパートの2階へと繋がる階段を上り、『滝谷』の表札がある部屋にたどり着く。
「ここね…」
「ええ…」
予想外だったのか、ユリナの表情は驚きに包まれていた。
それもそうだろう、人気俳優の実の弟の生活ぶりが、このような形なのだから。
舞がインターホンを押す。
しばらくすると、扉がギィィとゆっくりと開く。