風紀委員Girls! 272
「そういえば真理奈の直ぐ上のお姉さんは、確か‥桜咲の元生徒会長‥?」
桜咲の生徒たち皆に尊敬されていたというその人望の厚さは、他校である舞の耳にも届いていた。
「ああ恵里奈ね、そう、あの子は私と違って優秀なのよ‥」
ユリナはペロッと舌を出す。
「いえ、ユリナさんだって…」
「あの子は真面目な子で、真里奈はあの子に一番懐いていたんじゃないかな…」
ユリナは笑顔で、昔のことを思い出していた。
「ウチはみんな桜咲出身だから、真里奈が違う高校に進学するって聞いたときはビックリしたよ」
「やっぱり、そうでしたか…」
「ここら辺りでは、女子は桜咲…男子は青海に行くのがステータスになっているものね…」
ゆっくりとカーブを切りながらユリナが言う…
「はい…私みたいな貧乏人には、桜咲の制服は子供の頃からの憧れでした…」
桜は窓の外を眺めながら、しみじみと言った…
桜咲に憧れながら、家庭の事情で断念せざるを得なかった桜。
そんな彼女が流れ着いたのも清美である。
「そうよね…そういう子もいるわね」
ユリナは神妙な顔で呟く。
…先に桜の家の近くに着いた。
「じゃあね、舞」
「うん、また明日ね」
桜が車を降りて、舞だけを乗せ再び動き出す。
「この辺りなんですよ…亮さんが育ったのって…」
旬の住むアパートが遠くに見えてきた…
「そうなんだぁ…亮は昔の事に触れらるの極端に嫌うのよ…確かご両親は離婚なされたとか?…」
「はい…私も聞いた話しなんですけど…弟の一人と亮さんは父親に…もう一人の弟さんは母親に引き取られたそうです…」