風紀委員Girls! 269
多岐亮はいまや引く手数多の若手人気俳優だ。
きっとさまざまな仕事のオファーが来ているのだろう。
「私たちの用件を聞いてくれるだけいいと思おうよ」
「それは、桜のおかげでもあるよ」
桜は条件付でフロンティア所属のタレントになることができたのだ。
舞は机にあった写真週刊誌を手に取る。
そこには、多岐亮が美人モデルと交際しているのを撮影した記事が載っていた。
「こういうのもあるわけだ…」
「でも、誰かに似てない?この女の人」
そのモデル、名前はYurina(ユリナ)という。
…彼女は桜咲のOGで、本名は本多友里菜…つまり真里菜の姉なのだ。
「うぁ!これって友里菜のお姉ちゃんだよ!」
「えっ?…この記事が本当なら、友里菜のお姉ちゃんって多岐亮より年上なんじゃない?…」
「うん…友里菜とは随分歳は離れているから、確か多岐亮より2つ上な筈…」
「ちょっと待って…それじゃあ友里菜のお姉ちゃんであるユリナって、渕上茉莉亜のお姉さんと桜咲で同学年だった訳?…」
「うん…そうなるね」
「真里奈を連れてくるべきだったかな…」
「多分そこまでは知らないんじゃないかなぁ」
2人がそう思っていたとき、部屋のドアが開いた。
中に入ってきたのは多岐亮…ではなく、若い女性。
「ごめんね…亮は仕事で時間がないって言うから…」
その姿に舞も桜も驚いた。
現れたのは、Yurina…本多友里菜だったからだ。
「アッ、ユリナさんはどうしてここに…」
「亮が主演する今度の映画の打ち合わせよ…私が相手役って訳よ…」
「ああそれでこんな記事が…」
桜がテーブルの雑誌に目をやった…
「そう…番宣ってやつね…私と亮は今のところは何でも無いは…」
友里菜の言葉に、安心した気持ちとどこか残念な気持ちが混じる舞なのだった。
「で、あなたたちは…」
「あっ、はい…清美学園生徒会長の天野舞です」
「同じく、生徒会会計の早坂桜です」
「清美…聞いたことない学校ね…」
「まあ、今年できたばかりなので」
「そうなんだ…」