風紀委員Girls! 220
「ごめんね、真里ちゃん一人にお母さんを押し付けちゃって…結局私たちは皆、お母さんから逃げ出したんだと思うよ…」
「恵里姉…、お母さんはお嬢様育ちだから…仕方ないよ…」
「子供のような人だものね…」
「恵里姉は、桜咲卒業したら帰って来てくれるんでしょ?…」
「ごめん真里ちゃん……」
恵里菜は明確な言及は避けた。
しかし、その『ごめん』という言葉、真里奈はそれが『ノー』と言う答えだと悟る。
真里奈の瞳にじわじわと涙が溜まる。
「真里ちゃん…」
「恵里姉ぇ…」
恵里菜は真里奈を抱きしめ、涙を零す。
「休みには帰るようにするから許してね…」
あの母親の下、真理奈がどんなに苦労しているだろうことは容易に想像はついた…
真理奈のことを考えれば、地元の青海大に行くのが1番いいのだろう…
多分母親もそれを望んでいるに違いなかった…
それが分かっているだけに、恵里奈はここ何ヶ月も実家には帰ってはいなかった…
そうこうしているうちに時間は過ぎ、真里奈が帰っていく。
恵里奈は休みには実家に帰ると約束し、真里奈は迎えに来た椎奈と一緒に帰っていった。
―同時刻、青海大付属高校、校門前。
帰宅途中の明日香は、偶然校門を出るノブアキの姿を目撃する。
「お…あれ、ノブアキ氏珍しくお一人か」
ノブアキに取り巻きも、追っかけの桜咲女子集団もいなかった。
「帰るのかな、それともどこかに行くのか…」
ノブアキも静香も、登下校には送り迎えのリムジンでの移動が常だと聞いていたので、明日香はそれも不思議に思う…
家に帰るんじゃないのね…
単独で、誰にも分からない何処かに行くんだ…
明日香は距離を置き、ノブアキの背中を尾行する…