風紀委員Girls! 209
「あ、あのっ…いえ、そこまでは…」
突然の提案に真里奈は戸惑いを隠せなかった。
「どうして?久しぶりに、お姉さんに会って、お話すればいいのに…」
「そ、それは…心の準備が…」
「いいのよ…先に静香のところへ」
桜咲には学生が入る寮が存在する。
もちろん自宅から通学も出来るが、本多家では入学したら寮生活をするのが決まりとなっていたのだ。
…真里奈が桜咲を選ばなかったのには、その寮生活が嫌だったことが理由のひとつだった。
「ここよ生徒会室。」
マホガニーの大扉の前で 椎奈は止まる。
真里奈は呆気に取られ、その扉を見上げてしまう。
「ず、随分と凄い扉ですね…」
「これは清水権造氏より寄贈されたものなんですって…御存じ?清水権造さん…確かお孫さんも、桜咲には来ずにそちらに行ったのよね…」
「あ、はい…」
碧のお祖父さんだ…
清水家と青山家が密接な関係にあるというのは、真里奈も知っていた。
清美の理事長は碧の母親…つまり権造氏の娘。
碧も私のように迷いがあったのだろうか?
真里奈は考える。
「では、中に」
椎奈が扉を開ける。
視界に入ったのは、奥の方に佇む生徒会長・青山静香の姿だった。
「よくいらして下さいましたね…真理奈さん!」
静香は立ち上がり、真理奈を歓迎した。
真理奈がノブアキのことを聞きに来たのは分かっていた…
それはここ最近、ノブアキの出生の秘密について、何かと青海のナンバー2が嗅ぎ回っていることも、静香の耳には届いていた…
「どうも…初めまして…」
「こちらこそ。お座りください」
真里奈は静香に向かい合う形で椅子に座る。
「お茶を入れてきますので」
椎奈はいったんその場から離れる。
「お会いできて光栄です…お姉さん、恵里奈さんは素晴らしい方で、私も尊敬してやみません」