風紀委員Girls! 129
この人が皆から慕われる先生?…
彩未は自分が想像して人物と由真が余りに違っていたので面食らった…
カウンセラーである校医とは、もっと神経質そうな鋭い人だと勝手に思っていたのだ…
「どうしたの?…遠慮はいらないから、好きな所に座ってよ。」
「は、はい…」
彩未は近くにあった椅子に腰掛ける。
「じゃ、後任せたよー」
「ふぇーい」
利奈は笑顔で、軽く手を振って去っていく。
「…あ、やあ、私、榊原由真。ここの養護教諭ね」
「豊崎彩未です…」
「…ごめん…娘の夜泣きが酷くてロクに寝てないの…」
「あ、結婚なさっているんですか?…」
利奈同様に若く見える由真を見て、彩未は驚きの声を上げた。
「見え無いでしょ?…よく言われんのよ…これでも三人目なんだよ…」
「ぅえ!?…とても見えません!制服着たら、女子高生にしか見えませんてぇ!」
「あはははは!!!それはちょっと言いすぎでしょ〜」
「そ、そんなことないと思いますよ?」
「いやいや、酷いんだよみんな、私のこともうおばさんって言うんだから」
「と、とんでもないです、そんな」
「(お子さんがそんなに…大変なんだな…)」
彩未は先ほどまで抱いていた由真のイメージが、とても失礼だったと反省した。
同時にその人間臭い生活感に親近感が沸いてくる。
寝癖で跳ねた髪、薄い化粧…由真のそのどれもが、年下の彩未から見ても愛らしかった…
清美の生徒皆が由真を慕い、保健室に集まってくるのが分かる気がした。
「素敵ですね…」
彩未は由真に向かい、小さく言った。