風紀委員Girls! 128
「そ、そんな、別に、私は滝谷くんのことが好きなわけじゃ…」
「そうかな?名前が出てきたということはその気があるのでは?」
「い、いえ…」
真っ赤になって否定する彩未と、ニヤつく利奈。
「ま、保健室に行こう。昼休みまではそこにいればいいし」
「は、はい」
利菜の背中を眺めながら廊下を歩く彩未の耳に、楽し気な笑い声が聞こえてくる…
自分も中学まではあんな風に舞たちと笑っていたのだ…と思う。
それなのに…
清美に一緒に行こうと誘ってくれた舞たちを振り切ってまでも、彩来は桜咲に行きたかったのだ…
あの頃の彩未は、青海と姉妹校である桜咲に行けさえすれば、青山ノブアキに少しでも近づけると思っていたのだ…
…しかし、そうはうまく行かなかった。
桜咲に通うことができたのは良かったものの、雰囲気に馴染めず人間関係で躓き、さらに成績も伸び悩む。
目的だった青山ノブアキには未だ会うことすら叶っていない。
ノブアキの妹、静香とは仲良くなれたが、それも今回の一件で…
彩未は自分の人生は大きな間違いだったと、後悔していた。
唯一よかったと思えることといえば、通学時に黒獅子の滝谷旬と一緒になることだった。
満員なバスの中、痴漢にあった彩未を助けてくれたのが滝谷旬だった…
それ以来、あんなに憧れていた筈の青山ノブアキの存在は薄れ、彩未の中の大半は、滝谷旬が締めていた。
利奈に案内され保健室へ。
「ここね」
「ありがとうございます」
利奈が扉を開けて
「由真ちゃん、今大丈夫ー?」
「はーいー?」
中から聞こえる気の抜けた声。
「この娘、昼休みまで預かってて頂戴」
「はー、あれ、桜咲の娘ですか?」
「…朝の騒動知らない?」
「すんません、寝てました…」
眠たそうな顔をする由真。