風紀委員Girls! 124
「へへへへ〜、そうだよ〜、みんなには言ってなかったから初耳でしょう」
「し、知りませんでしたよそんなの!」
「じゃあ、お子さん、小学生?結構大きいんだよね?」
夏織が尋ねる。
「うん、もう高学年だよ」
利奈ちゃん先生の話は続く。
「妊娠がばれたときは大変だったな。親に怒られて家は追い出されるし…でも、彼のご両親がすごくいい人でね。自分たちの生活だけでも大変なのに、私と、子供の面倒まで見てくれてね」
黒獅子の生徒なら、旬の住んでいるあの辺りだろうか?
「もしかして、旦那さんの実家って、桜の住んでるあの辺ですか?」
「そうよぉ〜。子供の年令も近いから、早坂桜のお家とは昔っから仲良くしてもらっているのよぉ〜」
桜は利奈ちゃん先生に子供がいること、知っていたのか…
キーンコーンカーンコーン
1時間目開始、5分前のチャイムだ。
「さあ、もう始まっちゃうんじゃない?」
「そ、そうですね…」
「私、次の時間はフリーだから、彼女、任せてくれる?」
「は、はい、お願いします」
「大切な仲間なので…お願いします」
美菜子がいつにない真剣な表情で、利奈ちゃん先生に言った。
「うん、任せて。心を開いてもらえるよう、頑張ってみる」
利奈ちゃん先生も、笑顔で答えた。
それでも彩未の心は、幾分かは解けてきているのが、話しの途中に頬を緩めているところから分かった。
無駄話をしていたようで、流石に利奈ちゃん先生だと感心してしまう。
生徒たち誰からも信頼され、教師の間でも一目置かれているのが、今更ながらにして分かった気がした。
「1時間目が終わったら、保健室の由真ちゃんとこに連れてくから。気になったらそっちに行ってね〜」
「はーい、ありがとうございます!」
舞たちは生徒会室を出て、教室に向かって駆けて行く。
利奈は彩未に向かい合うように椅子を持ち出し、彼女の顔を覗き込んだ。
「彩未ちゃんかぁ。よろしくね」
「は、はい…」
笑顔の利奈に、か細い声で答える彩未。