君の人生、変えてあげる。 100
…まあ、別の意味で汗をかいてもいるわけだが。
「…ふう」
シャワーを浴びながら、一息つく。
明日からはあの更衣室を使うんだな。
みんなと一緒の着替えが出来るなら、それで良い。
正直、ホッとしている。
…一人になったこの空間で、またみんなの顔が思い浮かぶ。
もちろん、皐ちゃんとの ことが頭から消えたわけではない。
それでも、さっきの、多くの人にチャンスを、は、気になる。
どんなふうになるのだろう?胡桃ちゃんとか、菜々子先生とか、飛鳥ちゃんのときのように、どこそこに来て、という感じになるのだろうか?それとも、皐ちゃんの時のように、何人かいるひとがいなくなって二人になるのだろうか?それとも…
多分、来週の宿泊研修のときは、いろいろありそうだ…
今週の週末は、何も予定はないけど、何かあるのだろうか…
今週は土曜日も休みだ。
2日間あれば何かあってもおかしくはない。
まあ、それは明日学校に行ってからのお楽しみだろうか。
軽くシャワーを浴びて浴室を出て、母さんと夕食を食べる。
「そういえば、来週は宿泊研修なんだね」
「母さんの頃もあったの?」
「うん、あった。今年もあの高原なんだね。懐かしいな」
「母さんはどこを回ったの?」
そのあと、僕と母さんは資料を見ながらいろいろ話した。
30年近くが経っているのだが、意外と変わっていないところもあるようだった。
宿泊施設自体は一度建て直されたようだが、それ以外はあまり変わっていない、と母さんは言う。
周辺の建物の中には、母さんの当時にはなかったものもあるそうだ。
「周りは女の子ばかりだけど、しっかり頑張ってきてね」
「何を頑張ればいいのか…でも、みんないい子だから」