君の人生、変えてあげる。 98
…まさか、こんな展開になるとは思わず、当然ゴムも何も持っていない。
(というか、学校ですることなど想定していないから、普段から持っていないのだが)
「今日は、大丈夫。それに、たっくんをより感じたいから…」
「皐ちゃん…」
僕は、皐ちゃんのその言葉を受け取り、ゆっくりとそのなかに、入っていった。
「あぁっ…たっくん…」
そして、僕たちはすっかりひとつになった。
「たっくん…好きな人と、って、こんな感じなんだね…うれしい…」
僕たちは、抱きしめあって、しばらくそれを感じていた。
「ああっ、たっくん、たっくん…」
「皐ちゃん…」
お互いの名前を呼び合い、繋がりながら唇を重ねる。
「もう、出そうだ…」
「いいよ、たっくんと、一緒に…」
皐ちゃんと僕は、そのまま一緒に昇り詰めた。
僕たちは、しばらくそのまま余韻に浸った。
「たっくん…私に勇気をくれた、たっくんと、こうなれて…うれしかった。ありがとう…」
「皐ちゃん…すごく、つらい…過去だったんだね…」
皐ちゃんの目が、潤んだようだった。
「でも…女は…記憶を…上書きしていくの」
記憶の上書き…
「例えば、前に付き合ってた彼氏と別れて、新しい彼氏と付き合う。そのとき、前の人の記憶は忘れようとする」
…なるほど。
「男の人にしてみたら自分勝手かもしれないけどね」
「そんなことはないと思う。男だって同じだと思う」
「似たもの同士だね」
「そうかもね」
皐ちゃんと一緒に笑い合った。