君の人生、変えてあげる。 88
「歩ちゃんからメールをもらった後で、佳奈ちゃんといろいろ相談したんだ。そこで、協力できないかどうか考えて」
「勝代ちゃんはそういうタイプじゃないし…それなら私が…って」
「磯村先輩、いいんですか?」
こういう展開になるとは思っていなかった。
「私も、共学になった方が、きっと楽しい学校生活になると、酒本君と話して思えた。それに協力できるなら、と思って」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
僕と飛鳥ちゃんが、相次いで磯村先輩にお礼を言った。
「あとは、後半クラス…4組から6組から誰かひとり…と考えている、それは任せて」
僕は、黒田先輩を頼って、本当に良かったと思った。
「酒本君、その子、カノジョ?」
「き、菊川先輩!」
そうだった…この人も同じクラスだったんだ…
悪い人じゃないんです、でもちょっと厄介なんです…
「可愛いじゃん。お似合いのカップルだと思うよ」
「い、いや、そういうんじゃなくてですね…!」
飛鳥ちゃんにも否定してもらおうと促すが
「カノジョ…お似合い…カップル…」
顔を真っ赤にしてうわ言のようにつぶやくだけ…
「理紗、余計なこと言わない」
「だ、だってぇ…」
磯村先輩が菊川先輩を咎める。
「ちょっと、想像しちゃわない?もうヤッたのかなあ、とか…」
「理沙ぁ…」
飛鳥ちゃんはますます赤くなる。
僕も、これには、どう反応していいか分からない。
「理沙、あなたが出てくると、話がややこしくなるから、妄想にとどめて、創作に生かしたら」
黒田先輩が、静かに、そう言った。
「…あ、ああ、う、うん…そうしてみる」
黒田先輩に言われたら、菊川先輩もそれ以上は何もできない。
僕は少しホッとしながらも
「まあ、妄想するだけならタダだからね」
「高森先輩…」
常に笑顔のこの人も、何を考えているのかわからない。