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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 8


「ねえ、たっくん、前の学校では部活とか入っていたの?とか聞いてもいい?」

 僕の前に座って食べ始めた歩ちゃんがそう言った。

 「うーん、一カ月しかいなかったし、それどころじゃなかったかな」
 仮に、もっといたとしても、あの環境ではどこか部活に入りたいとは思わなかっただろう。

 「そうだよね…中学では?」
 「帰宅部」
 「何で?」

 何で、と言われても…あまり人と話したり、一緒に何かやったりするのが、得意じゃないから…

 「うーん、あんまり、入りたいところがなかった」
 「この学校は、結構いろいろ部活あるよ。気にいるところあるかもしれない」

 そうだな…この学校なら…なんか、楽しいこと増やせるかもしれない。

 「歩ちゃんは何部に入ってるの?」

「んー?私は文芸部」
文芸部…フィクション物でもよく聞く部活だけど、具体的にどういうことをする部活なのかはよく知らない。
「私以外でも、うちのクラスには伊織と、ひーちゃんと鈴ちんがいるけど」
歩ちゃんの隣にいる伊織ちゃんが、僕の右隣にいる二人を指差す。

隣にいる茶髪セミロングの子が『ひーちゃん』こと本多陽菜子(ほんだ・ひなこ)ちゃん。
そのひーちゃんの隣、黒髪ショートボブの子が『鈴ちん』こと喜多村鈴(きたむら・すず)ちゃん。

運動が特別苦手なわけではないけど、男が僕しかいないことを考えると運動部に入るのはあまり得策ではなさそうだ。
…それに、前の学校は運動部が盛んで体育会系特有の縦社会が僕のいじめに繋がったんじゃないかと考えると、少し敬遠したくもあった。

「うちの学校は文化部が多くて、活動が盛んだからね」
少し遠くの席にいる飛鳥ちゃんが言う。
「後で部活紹介のパンフを見せてあげるよ」
「うん、ありがとう」



 その後は、9月からのクールにどんなドラマ見る?とかアニメ見る?というような、何ということのない会話が交わされて、もちろん僕も参加していた。
 こんな楽しい食事って、どのくらいぶりなんだろう、って思った。

「あ、ここにいたんだ」

 食事が終わって食堂から出て教室に戻る途中、クラスメートだが名前はまだ分からない、すらっと背の高い女子とすれ違った。

「あたしは、立川沙羅。体育委員…菜々子先生からの伝言ね。体操着届いたから、あとで体育教官室に取りに来てって」
「体育教官室?」

 案内してもらった中で、通ったのかもしれないが、少なくとも凛ちゃん歩ちゃん伊織ちゃんの説明の中には登場しなかった。

 沙羅ちゃん、でいいのかな?は、僕の反応に構わず続けた。

「あと、菜々子先生言い忘れたのだけど、短パンも前の学校のものを使ってもらっていい?」
「えっ?」
「つまり…ジャージや半袖体操着の上は、あたしたちと同じデザインのものでいい」

 ちょっと可愛い系のを着るのか…

「だけど、ハーフパンツまで同じものを使ってもらうと、前が開いてなくて不便でしょ」
「…そうだなあ」

「男子用の水着とか、短パンとかは、今デザイン中らしいから、そのうち試作品が届いたら着られるよ」

 制服はあるのに…他のものはあまり準備ができていなかったのだろうか…

「うん、分かった、ありがとう」

 教室に戻った。胡桃ちゃんと眼が合った。
 胡桃ちゃんはさっきの食堂にはいなかった。売店かお弁当かなのだろう。

 そう言えば、紙片の返事をしていなかった。

「あ、あの…」

 僕は、胡桃ちゃんと眼を合わせ続けられず、そらした。

「さっきの、うん、わかった」
「ありがとう」

 胡桃ちゃんは、そういったあと、すぐにどこかに行ってしまった。

 僕は、改めて、放課後の胡桃ちゃんとの約束に想いを馳せた。

 前の学校では「不純異性交遊禁止」だった。まあ、禁止されていなくても、全寮制の男子校では、そもそも出会いなんてないし、禁止されていないからといって不純同性交遊に走る人は、少なくとも僕の知っている範囲では、いなかった。
 

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