君の人生、変えてあげる。 64
そうこうしているうちに胡桃ちゃん、沙羅ちゃん、みさちゃん、秋ちゃん、茉莉菜ちゃんとか、一気に10人以上の人とアドレスを交換することができた。
メールより手軽な無料通話&チャットアプリは、設定で、アドレス帳に入っていて相手も持っていると自然に「友達かも」に出てくるので、その中の多くの人とはやりとりできるようになった。
「そうそう、たっくん、アスから聞いて、明智さんと連絡取ったんだ」
秋ちゃんがそう言った。
明智さん…昨日来なかった6組の委員長。
「秋ちゃんは、副会長の妹だから、みっちゃんが反対派になったとしても気を許すと思ってね」
飛鳥ちゃんがそう説明した。
「明智さんは、まだ迷っているみたい」
「そうなんだ…」
これだけの人がいるのだから、全員の賛成を得るのは難しい。
「6組って、反対派が多いって聞いたなぁ」
と言うのは麻由ちゃん。
「そういう中で、たっくんに会うのも難しくて、明智さんも悩んでるみたい」
秋ちゃんが言う。
「たっくん、みっちゃんの部活にいってみたらどう?もし興味あったらだけど」
飛鳥ちゃんが、思いついたようにそう言った。
「どこの部活?」
「環境ボランティア部」
そこは、僕がきのうチェックしたところの一つだった。
「このクラスには入っている人がいないから、よく分からないんだけど、外部の団体との関係もあるから、少なくとも男子だから、といって避けられるような部活ではないはず」
「そっか、ありがとう。行ってみるよ」
「たっくんが見学に行くときに、私も一緒に行くよ。みっちゃんも、その方が安心すると思う」
「うん、僕にとっても心強い」
飛鳥ちゃんと、そう約束する。
…ちょうどそのときチャイムが鳴り、深沢先生が教室に入ってきたので、僕たちはそれぞれの席についた。
今日で通常の授業がはじまって一週間。
もうすぐ、授業は一巡する。
あと、受けていない授業は、菜々子先生の保健だけ。
あの指導の菜々子先生、どんな授業なんだろうか?
5時間目、菜々子先生は、先生と同じか少し年上と思われる女性と一緒に現れた。
「今日は皆さんに、出産の実際の話を聞いてもらいます」