君の人生、変えてあげる。 63
「部活に入ることも、これからの拓真にとっていいことだと思うよ」
「まだ何も決めていないけどね」
「でも、クラスの中だけじゃなくて、他のクラス、他の学年の人たちと交流することは、大きなプラスになるし、誤解を解くチャンスにもなると思うよ」
「う〜ん、そうだなあ…でも、他の部活も見てみたいし…」
「そうね」
部活の話はそこで終わった。
夕食を待つ間に、僕は先週の水曜に飛鳥ちゃんからもらった部活動紹介のパンフをようやく開いた。
「この部は…そんなことを言う人は、いない」
黒田先輩の言葉が頭によみがえった。
逆に考えると、当然、歓迎されない部活も、あることになるだろう。
それは…どこなのだろう…
僕は無意識にスマホを手に取った。
しかし、すぐに、この学校に入って一週間のうちには、誰とも、メアドも無料通話&チャットアプリのIDも、交換していないことに気付いた。
…入って一週間で、まさか生徒会選挙に立候補するなんて思わなかったからな。
でも、いずれは必要になると思う。
まずはクラスの子から広げて、他のクラス、学年の人たちとも交換できれば、情報収集できるだろう。
…そこから交流できたら、味方は増えるはず…
部活の情報も、クラスメートからある程度手に入るだろう。
僕は、文化系の部活の中から文芸部以外に気になるところを2、3選んだ。
夕食後、僕は翌朝のイメージトレーニングをしていた。
女子とメアドとかを交換しよう、なんて、例えば連絡網のために自然に、以外だと、初めてなのだ。
翌朝。
「おはよう」
『おはよう』
朝早めに、僕は教室に入った。
そして、飛鳥ちゃんの前に歩み出た。
「あ、あの、飛鳥ちゃん…」
「おはよう、たっくん…どうしたの…」
「あの…委員長会談の話もあるし…反対派の動きとか…あるかもなので…」
自分でもびっくりするくらい声が震え上ずっているのを感じる…
女の子相手にこんなことを言うのは初めてだもんな…
「その、連絡先とか、交換できれば、って」
「あっ、そうだね。ありがとう」
まず、飛鳥ちゃんとお互いの連絡先を交換した。
「私も、たっくんのアドレス教えてほしいなー」
「私もっ」
歩ちゃんやひーちゃんなど、周りの子もそう言いだす。