君の人生、変えてあげる。 538
「たっくんが当選すると信じて、特製のケーキを作ってもらったんだ」
「それは…ありがとう」
楓ちゃんがみんなの分のケーキを切り分け飲み物と共に全員分揃えると、飛鳥ちゃんが真ん中に立って話を…僕も呼ばれた。
「たっくんが、生徒会選挙に当選しました」
声が震えている。
「ここから、私たちも新たなスタートになるはずです」
「たっくん、一言」
言いたい言葉はたくさんある。でも、ここは、短くでいいと思う。
「みんな、今日まで、本当に、ありがとう…これからも、また、よろしく…」
ちょっと、涙が、出てくる。
「皆さん、飲み物は、行き渡りましたか……」
飛鳥ちゃんは周りを見回す。
「では、たっくんの、副会長当選を祝して、かんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
僕も、みんなも、一斉に言って、飲み物を飲み、そしてケーキを食べ始める。
お世話になった人、一人一人に、挨拶しようと思った。でも、どんどん話しかけられるので自分から回る感じではなかった。
しばらく、そんな時が流れた後、飛鳥ちゃん…この場ではまだ直接話してない…が口を開いた。
「楓ちゃんには、ケーキ以外にも、持ってきてもらいました…更衣室だからできること。まず、楓ちゃん、やる?」
楓ちゃんは、持ってきた中でまだ開いていない箱を開けた。
「たっくん…これで、舐めてもらうって、嫌?」
楓ちゃんは素早くブレザーもブラウスもブラも取って、自らの胸に、箱から取り出した袋からクリームを盛った。
「ケーキだけじゃなくて、たっくんには私も食べてほしい、なーんてね」
「みんなが見てるから、は理由にならないよね」
「みんな同じ思いじゃないかな?」
僕の問いには飛鳥ちゃんが答える。
その後ろで海里ちゃんが何か言いたげな表情をしてるんだけど…
僕は楓ちゃんに近づき、軽く唇を触れあい、そのあとでクリームの塗られた胸に舌を這わせた。
甘いクリームの味、そして、暖かい、感触。
「わぁ、くすぐったーい…ありがとう、たっくん…」
「今日は、私たちの新たなスタートとして、今までちょっとたっくんと接する機会の少なかった人にも、仲良くなってくれたら、って、思います」
飛鳥ちゃんの声。
周囲が少しだけざわつく。
飛鳥ちゃんが軽く微笑んで僕の方を向いた。僕もそれに返すように頷いた。
後ろの海里ちゃんは…いったん部屋の後方に隠れるように移動していた。
「我こそは、って主張してくる子、いないかなぁ」
飛鳥ちゃんが少し、みんなを煽るように言う。
「じゃ、じゃあ…」
真っ先に手を上げたのは、秋ちゃんだった。