君の人生、変えてあげる。 523
何度も会話してきたが、この人は正直よくわからない…つかみどころのない人だ。普段、おちゃらけてる場面では片言の日本語で喋ってるけど、あの6組での説明、のときは真面目な顔で、とても流暢な日本語だった。
「さっきのたっくんの話、とても良かった。すごく心に響いたネ」
「ありがとう」
ルイちゃんが来るのを待つ間に、僕は思い切って、その謎なところを、聞いてみた。
「そう、多分、あなたの思った通り。片言の日本語は、キャラ。その方が、ウケるから」
「そうなんだ…」
「日本に来て、10年くらいになる」
「片言のステレオタイプなキャラを演じるのもたまには楽しいって思うんだよね。うちのクラスは少しピリピリしてるからね」
「それって…」
「ネアのせい、と言ったら彼女には悪いけどね…気持ちは理解できるところもある」
マギーさんは柔らかな笑顔を見せる。
「ネアはだいぶ気持ちを揺さぶられてるだろうね。主にたっくんの影響で」
僕は今まで聞いたいろいろな話、特に、僕が最初に入った高校を辞めてからプレッシャーが一身にかかるようになった話とか、を思い出していた。
「うん…」
「でも、あのキャラ変…実はここ一日二日の話なんだけど…は、クラスでは歓迎されてる。もちろん、演技だろう、っておもってる子は多い。私もそう思う…でも、それでクラスの雰囲気が良くなってくるのは、素直にうれしい」
「たっくんも私だけじゃなくてみんなと仲良くなってくれたら嬉しいね。でもさすがにみんなとこうするのは無理カナ?」
「わからないよ?」
「フフフ、たっくんはモテる男だねえ」
「オマタセ!」
そこにルイちゃんもやってきた。