君の人生、変えてあげる。 520
勝代さんはスマホを見ていた。
「菅さんからだけど、修正案、ちょっと文言の修正は要るかもだけどこの方向で行こう、って。たっくん、クラスに戻って修正案の説明して」
「はい」
僕は勝代さんと椎名先輩に挨拶して元の席に戻った。
戻ると、飛鳥ちゃんも立ち上がってスマホを見ているところだった。
「たっくん」
「今先輩達と話して修正案がある程度まとまった。みんな集められるかな?」
「わかった」
飛鳥ちゃんがパン、と手を叩く。
「1組全員集合!」
それを合図にあちこちで話をしていたうちのクラスの子たちが一斉に集まる。
僕は勝代さんや景さんと話してまとまった修正案について説明する。
飛鳥ちゃんやみさちゃんとかは手分けして2組から6組の委員長に説明に向かった。
修正案が伝わること自体は特に問題はなかった。何人もの人に「私たちは味方だからね」と励ましの言葉をもらった。
戻ってきた飛鳥ちゃんに状況を聞いた。
「2組から5組まで、修正案は問題なさそう。6組は…みっちゃんの意見だけど、子愛さんは、あくまで原案で、というかもしれないけど、確実に勝つ見込みまでは立ってないと思うから、結局は修正案に賛成するかもしれない、って」
子愛さんがどう考えているのかはわからない。直接話をすることなど無理だろう。今は様子を見るしかない。
「もうすぐ時間になります。議会を再開いたしますので、皆さん所定の位置に戻ってお待ちください」
進行役からそういう案内が出る。僕も自分の席に座ってその時を待つ。
そうして、竹中議長が生徒総会の再開を告げる。
「では、改めまして、生徒会本部の提案に対する質疑に入りたいと思います。意見、質問のある方は、挙手願います」
「議長!」
再び勝代さんが一際高く手を挙げ、大きな声で言った。
「黒田さん、どうぞ」
「生徒会本部の提案に対し、修正案を提案します。『共学化に関する学校側との交渉の大枠を、選挙後の新しい生徒会本部に任せる』を、『新しい生徒会本部、委員長会議、および部・同好会の代表から成る会議に任せる』に修正することを提案します」
そういう文言に変えた理由は後で聞いた。部・同好会連絡会議、というのは、僕もあんまり聞いたこと無かったけど、会則に載っている正式な会議じゃないから、それを入れるとあとで問題になるかも知れないから、らしい。