君の人生、変えてあげる。 518
飛鳥ちゃんからが一番最初で
『生徒総会の方は、賛成は見直さなきゃならないかも』
勝代さんからは
『休会の動議を出してみようと思う。ちょっと話そう』
このあたりで席に戻った。
「たっくん!おつかれ!」
「ありがとう、飛鳥ちゃん、メッセージ読んだよ」
「姉さんに、今の状況での賛否を一応質問してみようと思うんだ…でも、姉さんも苦しいと思う」
逆の隣のみさちゃんが壇上の会長を見ながら言う。
子愛さんの意外な発言と今後の行動を考えたら、そりゃあ平然としてはいられないだろう。
それでもそんな様子顔には一切出さないところがカリスマ性ある生徒会長なのだろう。
「たっくん………ああごめん、お取り込み中?」
「いえ別に…」
飛鳥ちゃんの後ろから現れた小さな影……景さんだ。
「修正案をまとめようと思う。椎名さんのところも乗れるような修正を。これから黒田が休会の動議を出して、30分くらい時間とれると思うから、その間に、椎名さんと話して」
「あの、まだ、どうしたらいいかよく分かってなくて…」
「これから説明する…あ、始まるよ」
景さんは席に戻っていった。そして、しんとした。
「では、臨時生徒総会、生徒会本部からの提案に対する質疑に移りたいと思います…」
「議長!」
ひときわ高く手を上げて大きな声で言ったのが勝代さんだった。
「二年一組 黒田勝代です。その質疑に移る前に、休会の動議を、提出します」
「はい、ご異議なければ、30分の休会に入ります」
竹中先輩は一瞬待って、休会を宣言した。再びざわざわし始めた。
一部の生徒が慌ただしく動いている。
人混みをかき分け椎名先輩の居場所を探す。
「あっ…椎名先輩!…」
それらしき人が、何やら話をしている。その相手は勝代さん。
「あぁ、たっくん。時間は少ないから手短に話を…まあ、大事なことだけどね」
「ええ」
僕は椎名先輩の正面に来た。景さんが言った通りに、相当可愛い。
「初めまして。酒本拓真といいます」
「初めまして。椎名玲美です」
椎名先輩は穏やかに話し始めた。
「誤解してるかもしれないけど、私は、私個人的には、男が嫌いなわけじゃないんだ。ただ、もし、理事会に引きずられるような形で共学化するなら、それは止めたいと思うだけ」
椎名先輩は穏やかな笑顔を浮かべている。
「そうなんですか」
「この生徒総会の目的も理解している。『一条の行使』で生徒総会でひっくり返そうとされるのを避けたいんだ、と思ってたし、菅さんや黒田さんと話してそれは確認できた。私たちも、わざわざ一条を行使するようなシーンは望んでいないよ」
「それで『共学化に関する学校側との交渉の大枠を、選挙後の新しい生徒会本部に任せる』を、『新しい生徒会本部と、委員長会議に任せる』に修正することでどうだろう、っていう話をしていたんだ」
勝代さんが説明した。
「私はそれに、部・同好会連絡会議も含めるといいんじゃないかと思う。そうすると、私が言った『あらゆるところで、議論』は、成り立つ」