PiPi's World 投稿小説

君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 515
 517
の最後へ

君の人生、変えてあげる。 517


今までのキャラクターとは全然違う子愛さんの姿がここにある。
話の内容は何か引っかかるところがある。ただ妙に説得力もある。共感してしまう人は多いかもしれない。

「多様化に進むこともいいかもしれない。しかし、忘れてほしくないのはそうではない人もいるということ。私の主張に、少しでも共感頂けたなら、ありがたく思います。皆さん、ぜひ一度改めて考えてみてください」

子愛さんが一礼し、場内に拍手。
どういう反応で拍手が起こったのか……僕にはわからなかった。

 「これで、全候補者の演説が終了しました。では、候補者に質問のある方、挙手をお願いします」
 何人かが手を挙げた。最初に指されたのは、場所から二年生。子愛さんに、学園が進める共学化を止められると考えるのか質問した。
 子愛さんは、さっきの語調と変わらずに、生徒の多くが共学化に反対すれば学園側も強行はしないと説明した。
 確かに僕もそのようなことを聞いた覚えがある。だからこそ、僕が選挙に勝つことが重要だったのだ。
 次に指されたのは、飛鳥ちゃんだった。
 「酒本子愛候補、この臨時生徒総会の議案そのものには、賛成ですか、反対ですか」
 子愛さんは、直ちに応えた。
 「シンプルに、賛成です」
 僕は一瞬考えて、そして、戦慄した。生徒会本部に任せるというこの議案は、僕たちが勝ちそうだったからあとから反対派に止められないように、という作戦で出てきたものだった。
 それは、諸刃の剣だったのだ!

子愛さんはいたって冷静に質問に答えている。その答えはこちらには全くの予想外の反応だった。

「今話し合うことには不満はありません。私の持っている主張は、私が当選したときに上げます」

子愛さんの方を見ていた僕に、佳奈さんが膝をつついてきて、小声で話しかけてきた。

「………なんか厄介なことになってない?アイツ…」

 「はい、何か、こんな風に出てくるとは全然思ってなかったです」
 「目はいい?」
 「え、あ、まあ」
 「会場を見て…かなり多くの人がスマホを操作してる。今、多分ものすごい数のメッセージが行き交ってる」
 僕のポケットのスマホも何度も振動している。壇上だから触るわけにいかないが。

冷静に質問に答えていく子愛さん。質問のほとんどが彼女に対してのものだった。

「候補の皆さん、生徒の皆さんもお疲れ様でした。これで立会い演説会を終了します」

司会の言葉があってすぐに子愛さんは席を立ちそそくさと退散していく。

僕は制服のポケットからスマホを取り出す。飛鳥ちゃん、勝代さん、綾ちゃん……数人からメッセージが届いていた。

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す