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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 516

………ふむ。少々、というかかなり予想外だった。
噂では子愛さんとまではいかないけれど、かなり強硬な反対派だと聞いた椎名先輩が、態度を軟化させている。勝代さんも似たようなことを言っていたっけ。

椎名先輩が壇上で頭を下げる。
拍手が起こった。

隣の子愛さんが少しイライラしてるように見えた。

 そうして、僕の名前が呼ばれた。僕は返事をして立ち上がり、前へ踏み出した。
 数百人の、女子だけの聴衆。結構自信はあったのだがまったく緊張しないかというと嘘になる。
 僕は、周りに分からないように、深呼吸した。

一呼吸おいて話し始める。

「酒本拓真です。2学期からこの学校に通い始めて、最初はいろいろ戸惑うことばかりでした。でも、クラスのみんな、先輩方先生方から温かく迎えられて、とても楽しい学校生活を送れています。そんな皆さんに感謝しつつ、その恩返しというか、もっと過ごしやすい学校にしたい、という思いも感じました」

 「男子という、皆さんからみると異質な存在が、そんなことを言うのはおかしいと感じる方も、いるかも知れません。しかし、男子だからこそ、できることもあると、思うのです。他の候補者も説明したように、不安に思う人も、可能な限り不安がなくなるよう、そして、涼星がもっと楽しくなるよう、進めていきます。『女子も、男子も、住みよい涼星』を、どうか、一緒に、作っていきましょう!」
 一気にしゃべり、僕は一歩下がった。満場の拍手が聞こえた。あまり緊張していない、とは言っても、さすがに一気に安心して、僕は席に戻った。

 そして、最後の子愛さん。子愛さんは、目に見えて深呼吸していた。

 「『涼星に男なんていらない』」
 最初に会ったときにそんなようなセリフだったが、語調はまったくあのときと違い、淡々と話していた。ずいぶん考えて、キャラを替えたのか、演技しているのか…
 「そういうシンプルな思いを、皆さん持っていませんか?皆さんは、女子校である涼星を選んで入ってきたのではないですか?初等科からいるから私決めてない、っていう人もいるでしょう。しかし、そんなあなたも、親御さんが女子校を選びました。そして、あなたが選んでいなかったとしても、女子校での楽しい思い出を、これまで積み重ねてきたでしょう」
 あの子愛さんからは全然想像できない演説…
 「グローバリゼーション、ジェンダーに関係ない活躍、そんな耳障りのよい言葉達。この学園が進める共学化も、それと同じ道筋にあるのではないでしょうか?壁を無くした効率的な世界。しかし、それらは、よい世界をもたらしていますか?そんな、誰かが唱える理想論に、シンプルに疑問を持った人たちが、トランプ大統領や、ブレグジットなどを、実現させてきたのではないでしょうか。そうした気持ちが、国をも動かせるのです…」

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