君の人生、変えてあげる。 511
「そんなんやってみないとわかんないだろ、綾音」
その言葉に反論したのはやはり、というべきか、マギーさんだ。
この人、いったいどっちの味方なんだろう。
子愛さんは表情変えずこっちを見ている。
「みんなごめんね」
マギーさんは僕らに向かって手を合わせ謝罪した。
改めて演説を始める。
ほかのクラスで行った演説と同じ演説を進めていく。みな、何も言わずに聞いてくれている。
一通り演説が終わった後、さっき「綾音」と呼ばれた人が口を開いた。
「5,6組のところを男子立ち入り禁止にする案、これは伝わってきてなかった。初めて聞いたよ。それは聞いてよかったと思う」
何人かの聞いていた人がその人の方を向いた。
「でも、その日が来たら、何人かの人は6組から出る希望を出すんでしょう、明智さん、マギー、」
綾音さんは何か言葉を続けようとしたところで止まった。
その視線は子愛さんの方を向いていたので、おそらく彼女に聞こうとしていたのだろう。
子愛さんの方は、やはり表情は変わらない。
「まあ、その話はまた別だ。綾音、今は話を聞こう」
「わかった」
綾音さんの表情は柔らかくなった。マギーさんとは仲が良いのだろう。
一通り話は終わった。何か質疑応答がある、と思っていたが、意外にもなかった。
そうして、僕たちは6組を後にした。
子愛さんが何も言わなかったのが不気味だった。
でも、とりあえず乗り切ったから、僕たちはひとまず安堵して教室に戻り、解散した。
明日のテストは地歴とか公民とか暗記教科中心。帰って教科書を開く。
明日の科目はそこまで難しいわけではない、むしろ6組の皆の前での演説の方が緊張した。そのせいなのか疲れがやってきて、とても眠い。
「うーん……」
なんとか範囲内の勉強は終えられた。そんな時にスマホがメッセージの着信を知らせる。
「あっ、勝代さん…」