君の人生、変えてあげる。 510
そして10月6日 月曜日の朝を迎えた。
この日一番の難関だった英語は、週末の勉強のかいあって乗り切ることができた。
そうして試験が終わった後。これは試験以上に緊張する。僕たちは、一年六組に、行くのだ。
「6組は正直私も仲の良い子がいない」
テスト後、ミサちゃんがそう言った。
それはクラスのほとんどが同じかもしれない。
僕は………委員長、みっちゃんとはうまくいけているのかもしれない…ただそれ以外となると…
最大の問題は、やはり子愛さんだろう。
彼女との間の…個人的なことも含めて、解決しないといけない。
「たっくん、行こうか」
綾ちゃんが僕だけに聞こえるように言った。
僕と飛鳥ちゃんとみさちゃんは、普段の校舎を離れ、一年六組の前に立ち、ノックして、六組に入っていった。
席は半分くらいしか埋まっていなかった。明日のテスト勉強があるからある意味すぐ帰る人が多いのは当たり前だ。
一番前でみっちゃんが見守ってくれているのがせめてもの救い。それ以外の視線は、暖かくはない。とりわけ、一番後ろから睨む、子愛さん。
本来なら真っ先にでも帰っていそうだと思ったが、僕がやってくると知って残っていたのだろうか。人聞きだが子愛さん、相当成績が良いという話だし。
子愛さんの強い視線を感じる。しかし負けてはいけない。
僕も彼女を意識して睨み返した。すると、少し驚いたような顔をされて、また一瞬で元に戻る。
ミサちゃんが話を始める。
その瞬間に席を立ち帰りだす人が現れる。
「待てよ。そういうのってフェアじゃないだろ」
低く強い口調。その声の主は子愛さん……ではなく、マギーさんだった。あのおちゃらけた雰囲気は一切なかった。
一人の人はちょっとその声に振り返ったが、そのまま出ていってしまった。
それでも、もう一人の人は、足を止めた。
そして、その人は、こちらを真っすぐ向いて、こう言った。
「ねえ、あなたたちがここに来ること、お互いにとって、利益ないような気がするんだけど」