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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 52


秀雄さんは特に気にすることもなく、ただニコニコと微笑んでいる。
…大人だから、僕たちがナニをしたとかわかっているのだろう。

コーヒーを淹れ、ソファーに座る秀雄さん。
「ごめんな、何もなくて。そこのコンビニで買ってきたんだよね?」
「いえ、そんなに…僕らの方がイレギュラーなんですから」
「そうか。ここは、仕事が忙しいときに寝泊まりに使うくらいだからね」

 秀雄さんはコーヒーを飲みながら言った。
「このあとなんだけど、僕が天空タワーまで車で一緒に行って、チケットカウンターまで案内するから、あとは二人で楽しんで」
 
『えっ』
 僕と飛鳥ちゃんがほぼ同時にそう言った。
 秀雄さんはあるカードを出した。そこには航空会社の名前が書いてあった。
「入るには、このクレジットカードの名義人本人が行く必要があるんだ」
 秀雄さん、一息入れて、
「このカードを使うと、マイルがたまって、飛行機のタダ券がもらえる…本当は“会員の二親等以内の親族”までしか、このタダ券は使えないのだけど、適当に届け出ることで、もし望むなら、拓真君と飛鳥に、航空券をプレゼントすることもできるよ」

「えぇっ…二人で旅行なんて…そんな…」
 飛鳥ちゃんが顔を赤くしてそう言った。
「まあ、二人が望んだら、な…じゃあ、そろそろ行くか?」

『はい!』

飛鳥ちゃんと僕は秀雄さんの車に乗り、天空タワーを目指す。
今いるマンションからでもその姿を見ることができる日本最高峰の建造物は、間近で見るとどう映るのか、僕はワクワクしていた。

―タワーに向かう車の中
「拓真くんは、高校でたった一人の男子なんだろう?」
「ええ」
「すごいところにいると思うんだけど、もう慣れたのかい?」

「はい、戸惑うこともありますが、おかげさまで、クラスのみんなとも仲良く過ごせています」
「よく、女子の中に、少数の男子しかいないと肩身が狭い話もあるけど、そういうことはないのか?」
「それは、今のところ、ありません」
「拓真君はイケメンだからかな」
「そうですか?」
「そうだよ」

 そんな話をしながら、僕たちはタワーに着いた。
…本当に、間近で見ると、見上げるようなタワー!
「写真撮ってあげようか」
 秀雄さんが、飛鳥ちゃんのスマホを預かって、写真を撮るのだが、少し離れても、秀雄さんがかなりしゃがまないと、僕たちとタワーを同時に写真に収めることはできなかった。

 さっきの話の通り、秀雄さんはチケットカウンターまで僕たちを案内して入場券と引き換えて
「何かあったら、いつでも相談してくれ」
 と、名刺に個人の携帯番号とメールアドレスを手書きして僕に渡して、立ち去っていった。
「叔父さん、いろいろ、ありがとうございました」
 飛鳥ちゃんは深々と頭を下げた。

 そして、飛鳥ちゃんと二人、エレベーターに乗って、展望台へ。
 この時間でも、もう結構人がいた。エレベーターでは自然に密着する。

 展望台…想像以上の眺望だった。
 眼下には駅から電車が行き来し、すぐのところに多くの橋がある川の流れ、目を転じれば埋立地の向こうに、湾が本当に湾であるように丸く見えた。その岸には両方の隣県の建物が林立し、湾を横断する道路、なども一望できた。反対側では、山が霞み、都内からはあまり見ることのない富士山までがうっすらと見えた。

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