君の人生、変えてあげる。 504
飛鳥ちゃんとは、一緒にでかけたことも、泊まったこともあった。でも、家に来たのは初めてで、ちょっと緊張する。
やがて飛鳥ちゃんは、紅茶を二杯、お盆に置いて持ってきて、ソファーの、僕の隣に座った。
「どうぞ」
「いただきます」
ほんのりとした甘みが口の中に広がる。
「このテストが終わったら本格的に選挙の話が進んでいくと思う」
「うん」
「一緒に頑張ろうね、たっくん」
「もちろん」
立候補した僕の為に一番精力的に動いているのが飛鳥ちゃんなのだ。
どちらからともなく、手を握りあった。
「月曜放課後、6組に行けるよう、みっちゃんと調整してる」
「いよいよだね」
「その時は、私も、行くから」
「ありがとう」
飛鳥ちゃんは一瞬間をおいて、前に向き直った。
「さあ、英語」
飛鳥ちゃんは自らに語りかけるように呟いた。
飛鳥ちゃんが立ち上がってテキストとノートを持ってきて、範囲箇所のページを開く。
「僕、何も持ってないけど…」
「大丈夫大丈夫」
飛鳥ちゃんは僕よりもできる人だから、その勉強法を学ぼうか…
テキストを見つめる鋭い視線はいつものクラス委員長らしい姿だ。
「じゃあ、今回の試験範囲から、問題出し合おうか?」
少しの後、飛鳥ちゃんはテキストを閉じて言った。
「えっ、いきなりじゃ、ちょっと自信ないかも」
「たっくんもテキスト見る?」
飛鳥ちゃんはテキストを差し出し、自らはノートを見ている。
僕は集中してテキストを読んだ。