君の人生、変えてあげる。 6
僕は鼻にティッシュを詰めて、クラスメートと一緒にプールに向かった。
羽織ったジャージを脱いでの水着姿。普通のスクール水着だが、それはそれで素晴らしい眺めだった。
さっきの下着姿ではあまり正視できなかった、誰の胸が大きいのかも分かるようになった。
(何カップ、とかは僕の知識ではあまり分からないが)
それでも、僕の頭の中は、相変わらずさっきの胡桃ちゃんとか飛鳥ちゃんとかの裸の方が多くを占めていた。
さすがに鼻血は止まりつつあったが、下の方の反応は相変わらず収まらないのだった。
休み時間にトイレで抜こうかと思っていた。あそこなら、誰にもばれない。
「体操着は今日の午後届きます。水着は、検討の結果、前の学校のものを当分使ってもらうことにしたけどそれでもいい?」
休憩時間に、菜々子先生、と聞いた体育の先生…この先生の水着も結構まぶしい…がそのように声をかけた。
「はい」
いくら前の学校の思い出を消したくても、海パンに恨みがあるわけではない。
「じゃあ、明後日の水泳の授業から参加してね…酒本君の着替え場所を用意しないとだね」
「先生、それは、大丈夫です」
近くにいた胡桃ちゃんが声をあげた。
「今日も、たっくん、着替え中同じ教室にいてもらったんですよ。同じクラスメートなんだし。あたしたちは同じ場所で着替えても問題ないです、ねえ、みんな!」
他の人も、拍手や、同意の言葉を口にした。
「酒本君はそれでいい?」
それは…僕の方がどう思うか、というのは…確かに恥ずかしい。
でも、女子と一緒にこれから着替えられる…それに、一番恥ずかしいところも、もう見られてしまったんだし…
「はい、それで大丈夫です」
そして、授業の後半が過ぎ、水泳の授業は終わった。
授業に参加した女子たちは、プールサイドで濡れた水着を脱いでジャージを羽織っていくのだが…多くの人がタオルを使う中、さっきの「タオル使わない」話は、まだ継続していたのだ!
まだ、ティッシュが外せなくなってきた…
「たっくん」
ジャージの上を羽織った(そしてそれ以外何も着ていない)胡桃ちゃんが声をかけてきた。
「な、何?」
胡桃ちゃんは僕に近づき、耳元で、小声でこう言った。
「男の子って、一度反応すると、なかなか収まらないんじゃない?」
「そ、それが何か…」
「さっきはごめんね、あんなことさせたりして」
「う、ううん、そんなことないよ…」
恥ずかしかったけどね…
「でも、それって、ずっとそのままなのも、苦しいよね?」
「ま、まあ…」
胡桃ちゃん、君は一体、何が言いたいのでしょう…
「私でいいなら、責任、取ってあげる…」
胡桃ちゃんは頬を赤くさせて、そう言った。
責任、って、何を?!
「ええっ…責任、とかって…胡桃ちゃんのせいじゃない」
そう、直接「見せて」とか言ったのは、別の子だし…
「責任なんか感じなくていいよ」
胡桃ちゃんは、ますます下を向いていった。
「でも、せっかく出会えたたっくんと、もっと、仲良く…なりたいの…」
「胡桃!行くよ!」
律っちゃんが言った。律っちゃんは、ジャージに、下はタオルを巻いていた。
胡桃ちゃんのようにジャージ上だけで下を隠せる女子はジャージ上だけ、それ以外の女子はジャージプラス、タオルを巻いたりハーフパンツを直に穿いたりして教室に戻るようだった。
僕は明後日どうしようかな。
「じゃあ、後で…」
胡桃ちゃんは小声で僕に向かって言った。