君の人生、変えてあげる。 5
仕方なく僕は顔を上げた。
「ほらほら、しゃんとして!」
胡桃ちゃんが僕の背中を押す。
思わず僕は腰を突きだしてしまった。
「わあ!」
「大きい!」
ズボンを突き破らんばかりに盛り上がった僕の股間を見て、女の子たちは口々に言った。
「ねえ、たっくん、脱いで見せてくれない?」
「私も観たい!」
「ささ、恥ずかしがらずに。」
…参ったな
僕に向けられる三十数人の好奇の目、ここで逃げたら、僕は嫌われちゃうのかな
こうなったらもう自棄だ。
僕は思い切ってパンツを下ろした。
「わぁ〜!!」
「すごい、おっきい…」
「男の子のココって、こんなになるんだ…」
歓喜と驚嘆の声が教室内に響く。
…今、ものすごく恥ずかしいぞ、僕。
パン、パン
手をたたく音が聞こえた。
「着替え、着替え!次授業だよ」
委員長の飛鳥ちゃんだった。
体をすっぽり覆えるタオルを巻いていた。
そして、飛鳥ちゃんは、横を向き、ほおを赤くして、それでも、ちらっ、ちらっとこっちの方を見ているようだった。
「それに、見せて、って言って、自分は見せないのは…ふ、不公平じゃない?」
それは、別に怒っている様子でなく、多少、声が高くなり、興奮気味なように感じた。
「そこで、参加は自由だけど、タオル使わないで着替えない?どうせ宿泊研修のお風呂でみんな見るんだし」
宿泊研修とは初耳だ…でもそのお風呂の“みんな”は僕は入っていないのでは…って、あああ!
「きゃ!」
「ええっ!」
悲鳴や驚きに似た声が挙がる。
飛鳥ちゃんは、目を閉じて、思い切ったようにタオルをバッと取り、そしてこちらにまっすぐ向いた。
そこには何もつけていなかった。
「そうねっ」
胡桃ちゃんは、にやっと笑って、速やかにブラジャーとパンティーを脱ぎ去った。
胡桃ちゃんが脱いだのを見て、律っちゃんとか、凛ちゃん歩ちゃん伊織ちゃんとか、数人がタオルをはずし始めた。
話に乗ったのは数人だったが、それでも僕にとっては信じられない光景だった。
「これでおあいこだねっ!」
律っちゃんがニコリと笑う。
「そ、そうなのかな?」
「そうだよー」
凛ちゃんも言う。
「でも、みんな早く着替えないと遅れちゃうからね?いくら優しい菜々子先生だからって、気を抜いちゃダメだよ!」
『はーい』
飛鳥ちゃんが声をかけて、胡桃ちゃんたちもそそくさと着替える。
「ふぅ…え」
そのとき、僕、身体のあるところが興奮の限界を迎えていました。
股間……ではなく、鼻が。
「ごめーん、誰か」
「ん?たっくんどしたの?」
「鼻血出た…」
「もう、たっくんたらー」
教室内はドッと笑いに包まれたのだった。