君の人生、変えてあげる。 485
その時、奈緒ちゃんのスマホが鳴る。
「ここまで。みんな、結構喋れるね」
ゲームの終了を告げるアラームだったようだ。奈緒ちゃんはそのアラームを止めて微笑む。
最後にしんみりしたせいか、またシーンとした静かな雰囲気。
「た、たっくん……その」
海里ちゃんが俯きがちに僕の表情をうかがう。
「ありがとう、海里ちゃん。気持ちは、受け止めたよ」
その頃、ちょうど「延長するかどうか」と聞かれたので、延長しないことになった。
解散する僕たち。そして、僕は海里ちゃんと同じ方向に歩く。
しばらく沈黙が続く。
「ええと、英語、がんばろうね」
「うん、たっくんも」
また沈黙する。
さっきの海里ちゃんの告白が、まだ耳に残っている。
話を切り出すべきなのか、それとも…
「んっ?」
海里ちゃんが僕の手を握ってきた。
「たっくん、時間ある?」
「別に…」
「私のお家に来て?今なら、誰もいないから…」
「うん…」
二人きりになったときから、なんとなくそんなふうになる気はしていた。僕は流れに従った。
それから、二人とも特に口を開くことなく歩いて、数分で海里ちゃんは立ち止まった。
「ここ」
ちょっと大きめの家。
車庫と思われる広いスペースには車はなく、先に歩いていく海里ちゃんはポケットから家の鍵を取り出しドアを開けた。
「たっくん、どうぞ」
「ありがとう………お邪魔します」
僕を通すと海里ちゃんは中から鍵をかけた。
すると、海里ちゃんは僕の背中から手を回して抱きついてきた。
「たっくん大好き……ずっと、ずっと好きだって言い続けたい…私だけ見てて欲しい……っていうのは、私のワガママかもしれないけど…」
その言葉と共にすすり泣くような嗚咽も聞こえてきた。