君の人生、変えてあげる。 483
「賛成!ちょっとお腹空いてきたし、お昼食べるついで、でもね」
海里ちゃんが言う。うーんと背伸びしてちょっとお疲れの模様。
「図書館の近くにあったよね、確か」
「じゃあ、行こうか」
そうと決まれば机に出した教材をカバンにしまい出る準備を始めた。
そこは、ワンオーダーさえすれば食べ物など持ち込み自由のカラオケボックスだった。図書館を出た僕たちはコンビニでお弁当やジュースやお菓子を買った。
カラオケボックスには待たずに入れた。結構人数ぎりぎりくらいの大きさの部屋だった。
僕は一番奥に座る。隣には純菜ちゃんが座った。ショートパンツから覗く健康的な生脚が、すぐ近くに来てまたドキドキさせられる。
カラオケボックスではもちろん誰も歌うなんてことはせず、リスニング対策に時間を割いた。
書くだけよりも実際の英語を聞き取るというのはなかなか大変だ。
「今の質問、なんて言ったの?」
「えっとね…」
やっぱり奈緒ちゃん頼みになる。
そして長く続けていて、誰言うとなくちょっと休憩になった。
持ってきていたお菓子を開ける。
「奈緒ちゃんって、生まれたのがアメリカなの?」
僕は奈緒ちゃんに聞いてみた。今まで奈緒ちゃんは帰国子女、という話のほかは断片的な話しか知らなかった。
「ううん、日本生まれ」
「英語、どんなふうに、話せるように、聞けるようになったの?」
「3歳のときにパ………お父さんの仕事の都合でアメリカに引っ越して、日本に戻ったのは中学生になる前…英語はなんていうか、自然に聞いて、その真似をして喋って、みたいな感じかな」
「自然に喋れるようになるって羨ましいなぁ」
「そうでもないよ。最近そういう教材もあるじゃない」