君の人生、変えてあげる。 480
「僕もできるだけいろいろな人の意見を聞きたくて…こうすれば良い、みたいなことがあったらいつでもお願いします」
「うん。それと……拓真くんが良ければ」
「はい?」
「また、こういうこと、したいな、って…」
「僕で良ければいつでも」
友梨佳さんは微笑んで僕の頬にキスをした。
その後は、この校舎の近くにある、以前に胡桃ちゃんと来たシャワーに入った。テスト期間中だから誰にも会わなかったが、一応、別々のブースで浴びた。
友梨佳さんとわかれてスマホを見ると、飛鳥ちゃんから電話ちょうだい、っていうメッセージがあったので電話してみた。
「あ、たっくん、電話ありがとう。あの、臨時委員長会議の報告ね。まず、本題の前に、新メンバー挨拶が、規則であるの」
「新メンバー?」
「そう、選挙立候補する人は、交代しないといけないからね…それで、注目だったのが、椎名先輩の代わり、米田先輩」
「なんて言ったの?」
「『ショートリリーフですが、よろしくお願いします』って。つまり、椎名先輩、全然勝つ気してない、ってことみたい」
なんか不思議な話だ。
「やる前から諦めてるってこと?」
「なんか、そんな感じがした。麻由ちゃんから話を聞いたら、椎名先輩の陣営、どことも連携を取ってない、って噂らしい」
「へぇ…」
もうひとつ気になることを聞いてみる。
「代理の米田先輩ってどんな人?」
「椎名陣営のメンバーらしいんだけど、あんまり自然な表情とかなくて、よく分からない人。挨拶も、預かったメッセージを読んだ、みたいな感じだったし」
「そうなんだ」
「あと、椎名先輩のところ、最初はあんなふうではなかったはず。もしかしたら、子愛さんのことが嫌になったんじゃないかなあ、とも思う」
子愛さん、か…
そういえば、しばらく名前を聞かなかったし、何をしてるかよくわからなかった。
彼女はいわば共学反対派の筆頭候補なのだろうが他と連携を取っているという話も聞かなかったし…
「6組にはまだ挨拶に行ってなかったよね、たっくん」
「う、うん…」