君の人生、変えてあげる。 470
僕達はしばらくの間、つながったまま抱きしめあった。
「拓真様、お時間は、大丈夫ですか?」
陽菜さんが先に口を開いた。
「ええと、今何時くらいですか?」
「ちょっと見てきますね」
陽菜さんは液を滴らせながら立ち上がった。
…あれだけ激しい交わりの後にもかかわらず陽菜さんは軽やかな足取りで浴室から出て行く。
僕はその少し後に立ち上がって、脱衣所で汗とお湯を拭う。
「大丈夫でした」
陽菜さんが戻ってきた。限りなく裸に近い薄着で。
「今朝食の準備をしているところだと思いますよ」
「あ、ありがとうございます」
「せっかくだから、湯船浸かっていきますか?あ、でももう拭いちゃったから上がります?」
「いや、ちゃんと拭いたわけじゃないから、入っていこうかな」
陽菜さんもその極めて薄い着物を外した。
特に何も言わず、二人とも湯船に浸かる。
さっきまでものすごく濃厚なひと時を共に過ごしていたのだ。
陽菜さんもそうなのだろう、ちょっと視線を合わせづらかった。
「拓真様」
「……?」
「その、私は、よかった、ですか?」
「もちろん」
陽菜さんは僕を見てはにかんだ。
「ありがとう、ございます」
少しの間一緒に湯船に浸かったあと、陽菜さんと離れて僕はみんなとの朝食に行った。
「陽菜とずいぶん仲良くなったのかな?」
茉莉菜ちゃんが笑いながら言う。
テストの話も出てきて、だんだん頭がテストのモードになっていく。