君の人生、変えてあげる。 465
「ありがとうございます」
陽菜さんは茉莉菜ちゃんに深々と頭を下げる。
茉莉菜ちゃんはニコッと笑って僕の肩をポンと軽く叩いた。
「今回は朝出るまで陽菜にいろいろお任せしちゃうといいよ!」
「お、お嬢様…」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます」
茉莉菜ちゃんはそのまま去っていった。
「どうぞ」
陽菜さんは風呂の脱衣室の扉を開けた。
「ここお客様用浴室には、私達使用人は掃除とか以外は通常入ることはないんです。普通は従業員用浴室に入っています。お嬢様が望まれて洗って差し上げるなどのときには香椎家用浴室に入ることは、あります」
客人をもてなす場所であるからか、思ったよりもスペースは広い。
「服は脱いだらカゴの中に入れておいてください」
「はい」
「普段…まあ、体育の授業とかありますよね。その時もお嬢様たちと一緒に着替えるんですよね?」
「ええ、そうなんです。はじめは戸惑ったのですが、今はすっかり慣れて」
「なんかちょっとうらやましいです」
「えっ?」
「ずっと共学でも、あんまり男女仲いいクラスってなかったんです」
「そうなんですか」
僕は話しながら脱ぎ始めていた。陽菜さんも脱ぎ始めようとする。
「そう、やっぱりちょっと戸惑っちゃいます」
体を交わした仲とはいえ、あの時は暗かったから、明るいところは恥ずかしいかもしれない。
「向こう向いてましょうか」
「いえ、これでちょっと、お嬢様や、お友達と同じように、拓真様に、近づけると思うのです」
会話の間にすべての服を脱いだ陽菜さんは、タオルで隠すようなことはせずに僕を浴室に入るよう促した。
「リラックスしてください。拓真様のお身体、私が洗いますので」
「なんか恥ずかしいですね」
室内の大きな鏡の前で、小さなプラスチック製の椅子に座り陽菜さんが僕の後ろで準備を始めた。