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君の人生、変えてあげる。
官能リレー小説 - 学園物

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君の人生、変えてあげる。 458

 「共学化のときに、校舎の一部を男子立入禁止にしよう、っていう案も用意しているんだって」
 「ええ、はい。なるべく、多くの人が、安心できるようにすることが、必要と思いまして…」
 「私達もそう思っているよ」

 そう、ここで、まだまとまってないけど「暴力的な男子が不安」の話も、出さないと。

 「それで、実は、受け入れる男子の人となりも…その、心配している人も、いまして」
 聡美さんは座り直した。
 「あ、ごめんね。拓真君も座って」
 僕は今まで入り口付近に立っていた。僕は勧められた椅子に座った。
 「実は…これは生徒もあまり知らないかもだけど、今までの生徒も、人となりを調べて、入学してもらっているの。もちろん、あなたも」
 「そうなんですか?」
 「涼星に来て、今までに『この子は嫌だな』って子に会ったこと、ある?」
 「いいえ……」
 いいえと言いたい。それほど、素晴らしい一ヶ月、これまでの人生で最高と言っていい友達や先輩や先生に囲まれた一ヶ月だった。
 でも、あの女を忘れるわけにはいかない。子愛…
 「いえ、残念ながら、一人だけ、いました」
聡美さんの前で言いたくなかった存在。でも、今はっきり言っておかないと、後悔するに違いないとも思った。

「そう」
聡美さんは驚くような表情はせず、淡々と頷いた。
「それって、酒本子愛さんのことよね?」
「えっ」
まるでこちらの心を読まれたかのような答えが返ってきて、僕の方が驚かされる。

「彼女の話も聞いていたわ…ただ、拓真くんにはあまり勘違いしてほしくないこともある…正直、私でも判断が難しいのよ」

 僕も、子愛さんのいろいろな話が頭に蘇ってきた。
 僕の代わりに期待を一身に受けてしまっていることとか…
 「理事会まで合否判定が上がってくることはめったにないんだけど、あの子の場合は理事会判断になった。『トラブルのもとになるから入学させるべきではない』『この学園でいい方向に』という2つの意見があって、いろいろ議論して、最終的に私は後者を推した」

「拓真くんの編入を受け入れる際におや?と思ったのは確か…真央にも聞いたんだけど、全く知らなかったみたいで」
「父方の親戚なんです。母は、あまりそちらとは折り合いがよくなかったようなので」
「そうなの…」
聡美さんは深く追求しようとはせず、ただ僕の方をじっと見て何か考えている様子だ。

「彼女とうまくやっていこうという気持ちはあるの?」
「はい。でも、まだそのきっかけも…」

 聡美さんは歩み寄って僕の肩をぽんとたたいた。 
 「その気持ちがあれば、きっと大丈夫」
 「そうでしょうか」
 聡美さんは僕の言葉には応えず、もとの場所に戻った。

 「いずれにしても、来る男子の人となりのことは、心配しないで。女子以上に、他の生徒とうまくやっていけそうか、調べるから」

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