君の人生、変えてあげる。 457
茉莉菜ちゃんの膝が少しだけ、ガクガク震えているのがようやくわかった。
そういえばさっきも葵ちゃんと茉莉菜ちゃんは…お互いにやっていたんだよな。
「たっくんがすっきりしたなら、私たちは嬉しいよ」
胡桃ちゃんはそう言いながら僕の背中にシャワーを浴びせてくれた。
ちょうどいい温かさだった。
その後は、みな、明日に備えて、寝室に向かった。
"茉莉菜ちゃんのお母様ともう少し話そう、と思っていたけど、今日は機会なかったな。あすの朝はあるかな"
僕はそんなようなことを考えながら歩いた。
物思いに入っていると、ふと呼び止められた。
さっきのメイドさんだ。
「拓真さん、少しよろしいでしょうか?」
「ええと、陽菜さんでしたっけ、どうしました?」
「少し…お話しがしたいと思いまして」
優しく可愛い微笑みを浮かべた陽菜さん。
僕がうなずくと、陽菜さんは「どうぞこちらに」と言って僕の手を取り、歩き出した。
そして、廊下と階段を越えて、僕はある扉の前に案内された。
「それでは」
扉を開けて僕を中に案内すると、陽菜さんは立ち去った。
「こんばんは。頑張ってくれているって、聞いてます。ありがとう」
「あ、いえ」
思ったのが通じたのか…
案内された部屋は、茉莉菜ちゃんのお母さんで学園の理事長・聡美さんの部屋。
その中は広いお屋敷の中だけあってなんともゴージャス……というわけではなく、普通。少し部屋が広いくらい。
「茉莉菜から話は聞いているの。拓真くんの頑張り…本当に拓真くんを迎え入れて良かったと思うわ」